加藤さんと山口くん

第69回 2022/1/23

2022年1月23日(日)
大きな過渡期にあるテレビや音楽のエンタメの世界。ともに長年、テレビと音楽のトップランナーである2人が本気で、テレビ界と音楽界の"いま、ヤバイところ"を語ります。

加藤:むかし『27時間テレビ』(フジテレビ系で毎年、夏に放送されてたバラエティ)って見てた?

山口:まったく見てないです。

加藤:見てない?たけしさんとさんまさんが生でしゃべる…

山口:あ〜!あ〜!

加藤:(生でしゃべる)ってことになったら、チャンネルかけてない? 普通の話しかしないで終わってるんだけど、何か起きるかも知れないって、ずーっと見てる。

山口:そうそう。

加藤:それって、スタッフが、さんまさんとたけしさんにドーンと(時間を)渡してるわけだよ。こうして下さいとか、こういうオチに向かって下さいとか、一切ないわけ。そこにドーンと行って「おいおい、どうなるんだ」って、ただただ見てて、「あ〜、別に普通に終わったわぁ」っていうみたいな。この感覚って、すごい大事なんじゃないかって、いま。生放送でも、ある程度、決まってるわけじゃない、今。

山口:それね、YouTubeでも起きてるんですって。

加藤:う〜わ。早いね、YouTube。

山口:ラジオでも起きてる。

加藤:テレビが50年でやってきたことを、(YouTubeは)たかが10年でやってるってことだね。恐らく、間違ってたら間違ってるって言ってね。尾崎豊のライブとか、永ちゃん(矢沢永吉)のライブとか、むかし何が起きるかわからなかったうよね。

山口:そうそうそう。

加藤:BOØWYもちょっとあったよね。

山口:あった、あった。ブルーハーツもそうです。

加藤:あ、ブルーハーツも。甲本ヒロトなんてまさに、何するんだ?って感じで。

山口:ニルバーナもそうです。

加藤:レッチリ(レッド・ホット・チリペッパーズ)もそうだね。若い頃の。

山口:らしいですね。あと、ハイスタンダードもそう。

加藤:あの人らメジャーに行かなかったけどね。でも、そこってスゴい大事なところかも知れないね。

山口:そう。だから、僕らがやったオンライン・ライブって、ただ普通のオンライン・ライブだと思って見たら、ぶっ飛ぶじゃないですか。「え、これ、ライブなの?」って思うじゃないですか。つまり、想像を裏切ってるし、次なにが起きるかわからない、どんなものがあるかわからない。それ、発信してる俺たちもわからないんっすよ。どう受け取られるか判らないんですよ。

加藤:俺の感想、言っていい?正直な感想。

山口:はい。

加藤:もう、完璧すぎると思った。

山口:それ、藤原さんと同じこと言ってた…(藤原さんが誰かは不明)

加藤:え、マジ? 完璧すぎるって。もっと破綻する箇所あってもいいよって思うんだよ。

山口:はぁ。

加藤:山口くんがドキドキするような。もう、決めてない。山口くんすら判らないポイント。それは、山口くんは当然、判ってると思うの。だって「いやぁ、こんど札幌で(ライブ)やる時、加藤さんに何か仕掛けますからね」とか、それはオレにドキドキして欲しいからでしょ。

山口:うん。

加藤:「なにそれぇ!」って、マジでやってもらいたいからでしょ。

山口:そう。

加藤:で、山口一郎がやっぱり「なにぃ?」って言うのがないとダメなの。

山口:ぁぁぁ…、なるほどなるほど。

加藤:その隙間が、あの(オンライン)ライブにあればいいなと思ったの。

山口:なるほど、なるほど。

アクシデントはつきものの生放送に長年、向き合っている加藤と、まさに完璧な演出で新たなライブシーンを創り出そうと進んでいるサカナクションの山口一郎。この対照的な方向性を持つ2人が化学反応を起こすと、それこそ何かワクワクするようなことが起きる気がします。…実は、この『加藤さんと山口くん』こそが、その実験室なのかも知れませんが。

今回の放送の最後の方で、山口くんがポツリと言います。

山口:ね、ちょっと、ラジオ続けましょうね。

加藤:うーん。続けさせてもらえるんだったら、もう。

山口:いやあ、僕もこれ無くなったら、生きて行けないですよ。来てよ、武道館(ライブ)も。

加藤:1回のがいいって(札幌のライブでステージに登場してました)

山口:観に来て欲しい。

加藤:ああ、観に行く。だから、それは行く、行く。 …終わりますか!

山口:終わりましょう。終了。…あ〜、きょうも楽しかった。
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