どさんこワイド179

ガウディに最も近づいた男〜どさんこ建築家・田中裕也さん

2017年11月23日(木)

ガウディに最も近づいた男〜どさんこ建築家・田中裕也さん

きょうの特集は、スペイン・バルセロナにある世界文化遺産「サグラダ・ファミリア」の設計者・ガウディの研究を続けて40年、稚内出身の建築家・田中裕也さんに密着しました。

サグラダ・ファミリア

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地中海に面する港町「バルセロナ」。その街の中心にそびえ立つのが「サグラダ・ファミリア」、1882年に着工され、いまだに建築中の教会です。作ったのは、建築家のアントニ・ガウディです。サグラダ・ファミリアの他にも、独特の曲線美や色鮮やかな装飾など、個性あふれる建物を多く設計している人です。実はガウディは、建物にたくさんのメッセージをこっそり隠しているんです。

建築家・田中裕也さん

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そのメッセージを、独自の方法で解読しているのが、バルセロナ在住で稚内市出身の建築家・田中裕也さんです。巻き尺と物差しで建物を実際に測って、図面をおこす「実測」という方法で、ガウディ建築を40年間研究し続けています。サグラダ・ファミリアの実測図は長さ3m、5年もの歳月をかけて描いたそうです。この方法で、これまで知られていなかった「ガウディのメッセージ」を次々と読み解いてきました。
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例えば、ガウディ作品の一つ「グエル公園」。柱の下の白いタイルの部分は、実は高さが微妙に違っていて、建物の奥から外を見ると、地中海の水平線と一直線につながるようにできているんです。これは今まで誰にも知られていなかった、ガウディ建築の特徴の一つ「計算された遠近法の調整」。実測することで初めて明らかになったガウディが残したメッセージだそうです。
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建築士を目指していた学生時代の田中さんは、研修旅行で見たガウディ建築に強い衝撃を受けました。「これが建築というなら、俺が学んできたのは何だったんだ。」
そして、ガウディ研究に人生の全てをかけると決意します。1978年、25歳の時にバルセロナに渡って以来、研究に没頭。10年以上を費やした結果を論文にまとめて発表しました。これが評価され、1992年、ガウディも卒業したカタルニア工科大学で、建築家工学博士号を取得。ガウディに関する著書も多く、いまや関係者の間では広く知られる存在となりました。

実はガウディは元々正確な設計図をほとんど残しておらず、新しい建物は、まず模型を作って設計をしていたといいます。しかし、1936年のスペインの内戦でそのほとんどが消失してしまい、今はわずかに残った模型の一部をヒントに、ガウディの意志をついだ職人たちが再現しています。
そのため、田中さんの正確で緻密な実測図は貴重な資料として評価されているんです。

国が認めるガウディ研究者

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ガウディが少年時代を過ごした家は、現在、当時の様子を再現した博物館としてガウディ財団が管理運営しています。その最上階に、田中さんの作図がズラリと並ぶ展示室があります。ガウディ研究者の作品が、ガウディの育った家に飾られているのです。ガウディの生まれた町で、田中さんが特別な存在として認められている、その証しともいえる場所です。
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ガウディの生まれ故郷・リウドムスの中心部に、田中さんが町の依頼を受け設計した市民憩いの場があります。ガウディの思いを、研究を通して引き継いだ田中さんが、ガウディのふるさとに恩返ししたい、と作った作品です。
そんなこれまでの功績を称えられ、田中さんは2016年、スペインでは名誉あるガウディグレソール功労賞を受賞。名実共に国が認める「ガウディ研究」の第一人者となりました。

家族の支えがあっての研究

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田中さんは、語学学校で出会ったスペイン人の奥様マリアさんと娘のオリビアさんの3人暮らしです。実は、田中さんの研究は誰かに依頼されたものではないため、満足な収入につながらないのが現実。でも、家族は田中さんを認め支えています。

「家族は本当に一番大切。僕のことを一番理解している。家族は不安ですよね、定期収入がないわけだから。そんな中で研究を継続することは家族の理解がないとできないです。だから僕の作品は、僕の財産ではなくて家族の財産なんです。」と、田中さんは語りました。
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