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プロを支えるプロ  神谷 誠

昨日の札幌ドームのファイターズの練習終了間際、1人の男性のもとにファイターズのスタッフや若手選手たちが駆け寄っていきました。輪の中心にいたのは、森内壽春(としはる)さん、31歳。昨季まで投手としてファイターズに在籍していました。プロ1年目の2012年には抜群のコントロールとテンポの良い投球を武器に、56試合に登板しリーグ優勝に貢献。しかし、その後は肘の怪我などもあり1軍のマウンドが遠のき、昨季終了後、戦力外通告をうけました。今季からは埼玉西武ライオンズの打撃投手(選手の打撃練習のときにボールを投げ込むスタッフ)として勝利のため注力しています。ライオンズの森友哉選手(昨季のオールスターゲームに、12球団で最も多いファンからの得票で出場した強打者)も「気持ち良く打てる球のスピード・回転・コントロールで投げてくださっています」と話していました。
私にとっては、なかなかタイミングが合わず、ほぼ1年ぶりの再会。「久しぶり!」と差し出してくれた利き腕の掌には、ゴツゴツとした戦いの跡は無くなっていました。約1時間30分の練習中、森内さんを見続けましたが、打撃投手の方は動きっぱなしでした。4人で15人ほどの選手をサポート。ですから、1人3・4選手を担当し、60球以上を投げ込みます。他の打撃投手が選手へ投球している時には、その打撃投手のサポートや外野を走り回ってのボール拾い。夏場でも涼しく保たれている札幌ドーム内ですが、練習後には髪の毛も汗でびっしょりと濡れていました。「良いダイエット」と話していましたが、これを試合がある日には毎回行うわけですから、頭が下がります。森内さんが投球の順番になると、ファイターズの陽岱鋼選手が視界に入るように立ち、軽く2度ジャンプをしてみせました。森内さんが現役時代、投球前に行っていたルーティンの真似です。「気が散る」と言いたげにグラウンドでは苦笑いを浮かべていましたが、「元チームメイトが気にし続けてくれるのは嬉しいですよ」と練習後には話してくれました。
昨季までは打者を抑えるのが仕事、今季からは打者に打ってもらうのが仕事。正反対の結果が求められる世界に、最初は投げ方すら分からなかったということでした。しかし、今では「バッターが1回目のスイングをした時、今日はどんなボールを打ちたいのか瞬時に判断して、2球目以降はその近辺に放っています」ということです。アスリートを支える繊細なプロの技だと感じました。今季のプロ野球も各球団残りは40試合ほど。こうした裏方の皆さんの努力に、選手達は全力プレーで応え続けます!

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