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いやー、気まずい  北本 隆雄

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先日、ひとりで映画館に行きました。

館内にただよう匂いに誘われ本編が始まるころには食べきってしまうくらいの小さなサイズのポップコーンを買いました。観たのは友人がすすめてくれた『8年越しの花嫁 奇跡の実話』という映画です。終盤にかけて館内からすすり泣く声が聞こえました。私も最後のシーンで涙がほろり。

いつも映画を観ていると、自分のいる空間だけ時の流れが違うのではないかと思うほど、あっという間にエンディングになります。もっとその世界の続きを観ていたい、なんて思いながらスクリーンに流れるスタッフの名前をみつめています。この映画もそうでした。いつの間にか場内が明るくなり、こぼれたポップコーンのクズを集めてから出口へ向かいました。すると私の前には、互いの腕を組み仲良く歩く、大学生くらいのカップルがいました。

「いいはなしだったね~」

女性のほうがそう言うと男性もうなずきました。恋愛や結婚がテーマにもなっているこの映画はデートにぴったりなのでしょう。ふたりの会話は続きます。

「この映画にひとりで来る人はいないだろうね」
「そうだね、さすがにね」

このやりとりの数秒後、男性が後ろを歩く私の存在にハッと気づき、なにやら必死に話題を変えようとしています。想像を絶する、気まずい展開でした。

ひとりだからこそ、映画の世界にどっぷりとつかれるのです。ダウンロードしたばかりの主題歌をイヤホンで聴きその世界につかったまま家に帰る。そんなこともできるのです。

「“ひとり映画”って、案外楽しめるんですっ。」なんて言おうとしても、さきほどのカップルはもう私の前から姿を消していました。

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