アナウンサー

アナウンサーブログアーカイブ

Announcer Blog

長風呂にハマっているわたしが、川にハマったはなし。  北本 隆雄

顔写真
北本 隆雄 プロフィールへ
最近、長風呂にハマっています。

湯船に浸かったあとは体を冷ますため
ほんの少し温度を下げたシャワーをあびます。
体の熱が逃げていき、気持ちいいのです。

先日、この瞬間に小学生の時の思い出が
フラッシュバックしました。

通学路に、用水路がありました。

プロバスケットボール選手なら、足を広げ
余裕でまたがれるくらいの小さな「川」です。

しかし低学年のわたしたちにとって、それを飛び越えるのは難しく
向こう岸へ着地できた人は「英雄」とたたえられていました。

さすがのわたしも、何にもないときに
無意味に川を飛び越えようとはしません。

ただ、その日は20メートルほど後ろに
クラスメイトの気になる女の子が歩いていたのです。

「超人的なジャンプをしたら
 あの子からかっこいいと思われるっっ」

そのときの考え方は単細胞生物、アメーバ並みでした。

おいお前は今重たいランドセルを背負っているのだ。
そもそも、お前は飛び越えられるだけの
運動能力なんて持ち合わせていないではないか。
マラソン大会の順位は下から数えたほうが早いではないか。

そんなことは頭に浮かびません。
だって、単細胞生物だから。

なにより早く飛ばないと、わたしの勇姿を見ることなく
あの子が通り過ぎてしまいます。

体は、自然と動き出しました。

助走をつける「タタタタタタッ」という音。
力を込め地面を離れる「ザッ」という音。

そして

あたりに響く「ジャボーン」という音。水しぶき。
遠くの方から聞こえる「ザワザワザワ」とした声。

すり傷一つなかったのは
川に住むアメーバが助けてくれたからでしょうか。

浅い用水路の中に、ひとり横たわっていると
さらさらと流れていく水が火照った体と頭を冷ましてくれて
なんだか気持ちよかったです。

一部始終を好きな子に見られた、なんていう現実は
今になっても受け入れたくありません。

北本 隆雄のバックナンバー

読み込み中…