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夕方と夜のあいだに  北本 隆雄

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函館の赤レンガ倉庫のすぐそばで
高さ20mのクリスマスツリーに
灯りがつく瞬間を待っていました。

日が沈んで15分ほどたったとき、ふと空を見ると
息をのむほど美しい凛とした藍色をしていました。

ほんの少し前まで燃えるようなオレンジの夕焼けだったのが
ウソのようです。

これを誰かに伝えたいと思っていると
表す言葉はさまざまあることに気づきました。

『トワイライト(twilight)』はそのうちの一つ。

夕焼けの”赤”と暗闇の”黒”。
ふたつ(two)の灯り(light)が溶け合う時間を指します。

『マジックアワー』という言葉も好きです。

1日のうちほんの一瞬しかあらわれないこの美しい時間を
「魔法」だと表現しています。おしゃれ。

そして忘れてはいけないのは「黄昏(たそがれ)」です。
この言葉の由来もいいものです。

電気もなかったその昔、薄暗いこの時間帯は
近くにいる人の顔さえ見づらくなります。

相手に「あなたは、どなたですか」と聞かなければならないため
「誰そ彼(たそかれ)」と使うようになったという説があります。

函館のツリーの点灯を待つ人たちの顔は
「黄昏」でも、ちゃんと見えていました。

近くにある街灯が、期待ふくらむその表情を
照らしているからです。

その後、ツリーの15万個ものLEDが
それをもっと明るくしました。

いまの時代だったら
「黄昏」という言葉はきっと生まれなかったはずです。

でも、はっきりとくっきりと誰かが喜ぶ顔が見えるのも
とても素敵なことだと思いました。

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