アナウンサー

アナウンサーブログ

Announcer Blog

蕗との格闘  高山 幸代

顔写真
高山 幸代 プロフィールへ
 ♪すじのとおったふーき♪ 娘が楽しそうに歌いながら食べている。頑張ってよかった。努力が報われた。
 先日、たくさんの立派な蕗を頂いた。足寄ではなく石狩管内で収穫されたものだが、農家の方いわく「ラワンぶき」だそうで、成長途中であっても1mは優に超える丈のものが数本。うれしい!と同時に、どうしよう…。恥ずかしながら、本格的に蕗の下処理をしたことは、過去に一度、しかもかなり昔。こういうことはずっと母任せにしてきた。すぐさま、市内の実家の母にメール。
私「蕗たくさんもらったの。煮物にしようと思うんだけど、一度下茹でして、皮をむけばいいんだよね!?」
母「そうだよ。それから水につけてアク抜きも忘れずに。」
私「キンピラにするなら、下茹でしなくていい!?」
母「いいえ、何をするにも茹でて、皮をむかなくてはなりません。」

 あちゃー…。「料理してあげるから持って来なさい!」と言ってくれるのではないかという下心もあったのだが、もろくも打ち砕かれた。こんな時、父が生きていたら、孫の顔見たさに「すぐ取りに行ってやる!」と間違いなく言ってくれただろう。写真の父を見るが、いつものように穏やかに微笑んでいるだけ。それじゃなくても平日の帰宅後は、「いかに手早くできるか」に最も重点を置いた夕食作りに、お風呂、子供の寝かしつけ…と怒涛の毎日だ。正直しんどい!が、食材を無駄にするのは許せない性分。私は蕗との格闘を決意した。
 我が家には実家にあるような大鍋がなく、一番大きなフライパンを出して茹でること、3回。皮むきは気の遠くなる地道な作業で、私にとってはかなりの強敵だった。そこからは連日、蕗まつり。お出汁で煮てカツオ節をたっぷりかけて頂いたり、お味噌汁にしたり、それでも減らないので、苦し紛れに初のチャレンジ「味付きジンギスカンに投入」したり(我が家的にはなかなかの美味)…。それでもまだ残っているので、今日は最後にキンピラにして完食の予定。大変ではあったが、シャキシャキとした食感と強い香りは、採れたてを自宅で調理したからこそのもので、とても満足した。
 美味しい山の恵みを頂きながら、ふと思う。昔からよく食卓に上っていたものの、特に興味を惹くおかずではなかった。幼い頃に「蕗と身欠きニシンの煮物」なんぞが出てきた時には、「こんなんじゃごはん食べさらない!」とミョーな北海道弁で文句まで言っていた私。なんということをしていたのだろう。あの一品を作るためにこんなに手間がかかっていたのだと、今更ながら思い知る。それなのに、母も祖母も、「大変だ」「面倒だ」などという様子は微塵も見せず、いつも当たり前のように作業していた。小学校低学年の頃、両親祖父母と山に蕗採りに出かけたこともある。あの時70をとうに過ぎていたはずの祖母は一番貪欲で、大量の蕗を抱えながらも、「まだないか」と探し続けていた。採った分だけ、あの果てしない作業が待っているのに…。そのバイタリティーに敬服しつつ、天国の身内に思いを馳せる蕗との格闘であった。
  • 画像

高山 幸代のバックナンバー

読み込み中…