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「俺には厳しくも優しく」父奪った漁船事故 ロシア人航海士逮捕の舞台裏

(田邉記者)「船が転覆して、船底が上になっているのが確認できます。」

北海道・紋別沖のオホーツク海。ロシア船が衝突し、転覆した毛ガニ漁船「第八北幸丸」。

乗組員3人が死亡しました。

あの衝突から12日。事態は大きく動きました。

(急式記者)「青フードをかぶったロシア人が車に乗り込みます。」

逮捕されたのはロシア船の「三等航海士」の男。

なぜ、航海士が逮捕されたのでしょうか?

亡くなった乗組員、沼端賢良さん。父を亡くした長男は、事故の朝の様子を語りました。

(沼端さんの長男)「朝俺が食事を取っているときに電話があって、ロシアの船に北幸丸が衝突されたと」

その数時間後、港で見た光景は。

(沼端さんの長男)「3人包まれて降りてきたときに、あ、親父の姿がないってことで、確信しました」

仕事に厳しかったという沼端さん。それでも家族にとっては…

(沼端さんの長男)「孫には…(言葉に詰まる)孫たちには優しくしてくれて、男の俺には厳しくもあって優しくもあった」

日本とロシアの国境の海で起きた悲しい事故。

7日午前、海上保安部の職員に連れられて船をおりた男。

業務上過失致死などの疑いで逮捕された、ロシアのカニ運搬船「アムール」の三等航海士、パーベル・ドブリアンスキー容疑者です。

ドブリアンスキー容疑者は紋別沖を航行中に日本の毛ガニ漁船「第八北幸丸」に衝突し、乗組員3人を死亡させたなどの疑いが持たれています。

当時、自動操舵装置を使用していたとみられるアムール。

事故当時の状況が徐々に明らかになってきました。

事故のあった時間帯、現場の海域には海上濃霧警報が出され、十分な監視や警笛を鳴らすことが求められるいわゆる「視界制限状態」でした。

アムールの運航は船長の他、当直の責任者である複数の航海士が行っていました。

関係者によりますと、当初、海上保安部は複数のロシア人船員を逮捕することも視野に入れていたといいますが、実際に逮捕されたのは、当時の当直責任者だったドブリアンスキー容疑者1人でした。

(北海道大学海洋資源科学科 佐々木貴文准教授)「人質外交としてみることもできる。」

国境海域での外交問題に詳しい専門家はこう分析します。

「航海士1人だけが逮捕されたのは、宗谷岬沖で先月、ロシア国境警備隊が稚内の漁船をだ捕した、いわゆる「人質外交」の影響を受けた可能性がある」

(紋別漁協 飯田弘明代表理事)「(責任ある人は)もっといるはずなんです。あと3人くらい。逮捕なり起訴なりされるのではないかなという思いはありますけど。とりあえず第一歩。逮捕になったっていうことだけでも(相手に)責任はあるっていうことの証かなという気持ち」

三等航海士の逮捕で全容解明に向かう今回の事故。

しかし、失われた命が戻ってくることはありません。

沼端さんの遺族によると、死因は溺死でした。

(沼端さんの長男)「相手側に怒りしかないし、きっちり真相を明らかにして、亡くなった親父も含め、乗組員3人、納得できるように終わってほしい」

海上保安部はドブリアンスキー容疑者の認否を明らかにしていませんが、適切な衝突回避措置を怠ったとみて調べを進めています。
6/7(月)「どさんこワイド179」  6/7(月)18:42更新

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