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罰金支払いで解放へ 国境の海の起きた急展開 背景に「人質外交」

稚内沖で稚内の底引き網漁船がロシア側に拿捕され連行された問題で、漁船側が罰金を支払い解放される見通しであることがわかりました。

突然の解放への動きには、紋別での衝突事故との関連もあると専門家は指摘しています。

9日朝、ロシアのコルサコフ港。そこには、稚内機船漁協所属の「第172榮寳丸」の姿が。

榮寳丸がロシア側に拿捕・連行されたのは5月28日。

宗谷岬の東およそ80キロの沖合で、スケソウダラなどの底引き網漁をしていました。

ロシア側は「榮寳丸がロシアの排他的経済水域で不法に操業をしていた」と発表。

対して日本政府は「日本の排他的経済水域だった」と、ロシア側に抗議しました。

専門家は「平和条約」がないことが背景だと指摘します。

(北海道大学海洋資源科学科 佐々木貴文准教授)「ロシアとの平和条約がなくて、北方領土問題を抱えている。領土の確定できていない中で、本来は排他的経済水域は設定できない。非常に恣意的な拿捕ができてしまう海域になっている」

9日、新たな動きが。

ロシア国境警備局によりますと、榮寳丸側は日本円でおよそ900万円の罰金を支払い解放される方針です。その理由とは。

(北海道大学海洋資源科学科 佐々木貴文准教授)「稚内の拿捕と紋別の衝突の処理がバーター取引のようになった」

5月、紋別沖で紋別漁協所属の毛ガニ漁船とロシアのカニ運搬船が衝突し、日本人の乗組員3人が死亡した事故。

関係者によりますと、当初海上保安部は複数のロシア人船員の逮捕も視野に入れていたものの、実際に逮捕されたのは当直責任者だったパーベル・ドブリアンスキー容疑者1人。

これはロシアによる「人質外交」の結果だというのです。

(北海道大学海洋資源科学科 佐々木貴文准教授)「漁業関係者も海保も落胆はあると思う。ロシアと接するとこういうことが起こりうる。漁業という国境域で行う産業の宿命」

さらにロシア船は、賠償の保険に入っていませんでした。

そこで日本漁船の代理人は9日紋別漁協を訪れ、賠償金をどう得るかなど遺族らと話しあいました。

(毛ガニ漁船側の代理人 戸田満弘弁護士)「ロシアのカニ運搬船は賠償責任保険が手当されていない。そういう状態で国際航路に従事しているのは問題」

漁船の拿捕、そして3人が犠牲になった衝突事故。

プーチン政権との間で北方領土交渉を進めたい日本にとって、大きなしこりを残すことは避けたいというのが本音のようです。
6/10(木)「STVニュース」  6/10(木)11:22更新

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