「鉄道として残すために必要」JR黄色線区“上下分離”協議へ 長大路線に雪対策…課題指摘
JR北海道の綿貫社長は、赤字が続く8つの区間いわゆる黄色線区について、「上下分離方式」を軸に自治体と検討する考えを明らかにしました。
先ほど4月15日午後4時ごろ、鈴木知事と面会したのはJR北海道の綿貫社長です。
「黄色線区」の維持に向けた方策を説明しました。
(鈴木知事)「上下分離ありきではなく、さまざまな方策についても議論されることが重要だと認識は共有できた」
知事が慎重な議論を求めたのは「上下分離方式」についてです。
(JR北海道 綿貫泰之社長)「上下分離方式の検討ということで、鉄道として残していくためには議論が必要だと考え提案している」
15日、綿貫社長は赤字が続く8つの区間いわゆる黄色線区について、「上下分離方式」を軸に沿線自治体と検討する考えを明らかにしました。
赤字額は約148億円「地域に理解を求めたい」
JR北海道が単独では維持困難とする8つの区間=黄色線区。
2024年度の8区間の赤字額は148億円に上ります。
その改善策として今回打ち出したのが「上下分離方式」です。
JRは列車の運行に専念し、自治体などが線路など施設の維持・管理を担います。
(JR北海道 綿貫泰之社長)「黄色線区150億の赤字をこれからも負担していくことは当社としても厳しいと地域に理解を求めたい」
JR北海道は黄色線区を維持する取り組みとして、「上下分離方式」のほかに輸送体系の見直しなどをあげています。
石北線と釧網線、2つの黄色線区を抱える網走市は…
(網走市 水谷洋一市長)「この議論は黄色線区のみならず、北海道の鉄路をどうするかという問題にいきついていくと思うので、早急な上下分離議論というには地方には困難」
旭川と網走を結ぶ石北線は全長234キロ。
旅客だけでなく貨物列車が運行していて、この区間を維持・管理するのにどれだけの負担が生じるか懸念しています。
(網走市 水谷洋一市長)「どこまで自治体に負担を求めるのかもよくわからない。いずれにしても上下分離を議論すべきかという議論から始まると思う」
JRは国から今年度末までに抜本的な改善方策を取りまとめるよう求められています。
今後、沿線自治体との協議に入り、9月末ごろをめどに中間とりまとめを公表したい考えです。
地元負担を前提に存続を目指す黄色線区ですが、2024年度の赤字額はおよそ148億円に上っています。
区間ごとに見ると、石北線で49億円、宗谷線は27億円、釧網線は19億円などとなっています。
沿線自治体や道は、重い費用負担が生じる可能性があるとして慎重な姿勢です。
綿貫社長は今後、沿線自治体と4つの施策について話し合いたいとしています。
①輸送体系の見直し、②担い手確保、③固定資産税の負担軽減、④上下分離方式
「上下分離方式」は、果たして広大な北海道の線路を維持するために有効な手段なのでしょうか。
(北海道教育大学札幌校 武田泉准教授)「(自治体側は)今後は鉄道の線路や路盤施設について、毎年のようにかなり大きな額の負担が生じることになると、財政力が非常に厳しいところがある」
北海道教育大学の武田泉准教授です。
北海道で上下分離方式を導入する難しさを指摘します。
長大な路線に雪対策 “上下分離”の課題
上下分離方式は、JRが列車の運行を担い、線路や駅舎などのインフラを沿線自治体などが維持・管理する方式です。
道内では老朽化した鉄道施設が多く、その維持・管理には大きな負担がかかると言います。
(北海道教育大学札幌校 武田泉准教授)「(道内の路線は)距離が非常に長いことと、冬の雪の対策とかお金のかかる部分が非常に多い」
道外では、上下分離方式をすでに導入している例もあります。
それが、福島県の会津地方と新潟県を結ぶJR只見線です。
2011年の豪雨で被災し、一部区間が不通となりました。
JR東日本は当初、バス転換を提案しましたが、福島県や沿線自治体は地元負担が増えても復旧することを要請。
その結果、福島県が不通区間の駅舎などを保有し、JRが列車を運行する「上下分離方式」で進められ、2022年に運転再開となりました。
(北海道教育大学札幌校 武田泉准教授)「(地元が)支えることによって奥只見などの地域に観光客を呼び込んだり、地域の結束の紐帯の原動力になっている。地域を支えるために鉄道が必要なのかについて、より考える必要があると思う」
さらに国や道も含めた議論が必要だと指摘します。
(北海道教育大学札幌校 武田泉准教授)「上下分離自体はぜひやるべき。ところが上下分離の下を誰がやるかということについて、日本国内では非常に議論が深まっていない。全て地元が担うべきとなったら、鉄道存続の断念にしかならない」
長大な路線を抱える北海道で鉄道をどう支えるのか。
地元負担だけにとどまらない議論が求められます。