人口減少率は道内最大23.4% 財政破綻した「夕張市」借金返済へ マチや住民の暮らしの変化 北海道
20年前に財政破綻を表明した北海道夕張市。
2026年度末には353億円にも上る借金をすべて返済する予定です。
この20年間でマチや住民の暮らしはどう変わったのか、夕張のイマを取材しました。
20年前に財政破綻を表明 地域の商店…訪れる客は激減
(競り)「本年もお買い上げよろしくお願いします。それでは始めます!580万円!!」
あまりの高値にどよめきが起きた札幌の市場。
2玉580万円で競り落とされたのは、夕張市の特産・夕張メロンです。
史上最高値の評価に市長も満足げな様子です。
(夕張市 厚谷司市長)「借金完済でメロンも評価をいただいて、夕張これからもしっかり地に足をつけて頑張れというメッセージだと受け止めたいと思います」
20年前に財政破綻を表明した夕張市。
市内の商店を見てみると、特産の夕張メロンが並んでいました。
店を営むのは、夕張で生まれ育った稲村さんです。
(地元客)「そしたらこれとこれ」
(稲村経仁さん)「たぶんこっちのほうがおいしいと思う」
(地元客)「札幌に行くのに夕張のお土産を持っていこうかな。親切だし安くしてくれるし、最高の店」
地域の商店として住民の生活を支えていますが、訪れる客は激減しているといいます。
(稲村経仁さん)「それこそ炭鉱時代っていうと人口10万人だったころはこの地域だけでも何店舗だろう、末広だけで10店舗とかお店がありましたから、それから比べると全然少ないです。半分以下、それ以下かもしれないですね」
電気・水道・家賃はすべてタダ 炭鉱時代の夕張市
国内有数の石炭の産地だった夕張市。
最盛期の人口は11万人を超え、大小合わせて20以上の鉱山で栄えました。
マチを支えたのは、炭鉱会社です。
電気や水道、家賃はすべてタダ。
道路なども会社が整備しましたが、1990年にすべての炭鉱が閉山すると経済は停滞します。
(アナウンス)「1998年、夕張石炭の歴史村ただいまオープンです」
そこで、「炭鉱」から「観光」を軸としたマチづくりを進めました。
しかし、ハコモノへの過剰投資が財政悪化の引き金にー
(夕張市 後藤健二市長(当時))「自力での夕張市の財政再建は困難と判断し、地方財政再建促進特別措置法の準用による法の下での財政再建に取り組む決意をした」
2006年に財政破綻を宣言し、翌年から国の管理の下で“身を切る改革”を迫られました。
東京都職員として夕張市に派遣され、2011年から2期8年夕張市長を務めた鈴木知事は当時をこう振り返ります。
(鈴木知事)「夕張市役所の場合は、とにかく節約ということで真冬も暖房を夕方に切るんですよね。みんなでスキーウェアを着たりとかして、どうしても5時ぐらいから暖房が切れるので、そうすると5時間ぐらい作業があるから、机の上にコップに水を入れて置いていたら凍っているような。そういう状況の中で作業していたので。しかも月曜日から日曜日まで休みなく」
財政再建計画では市職員の年収を4割カット。
公共施設の廃止など徹底した歳出削減を図りましたが、葛藤もあったといいます。
(鈴木知事)「財政を再建することと地域を再生することが両立できるような計画に抜本的に見直さないと、早晩この計画が行き詰まってしまう」
市の職員の6割以上が退職し、行政サービスも低下。
そのため2017年に、返済に重点を置いていた当初の計画を改め、国の同意を得て、住民負担や職員給与に対する制限を緩和し、地域再生へと転換を図りました。
(鈴木知事)「行政を支えた本当に多くの方が辞めましたけど、市民の皆さんが本当に協力してくれて頑張ったという結果がもう少しで見えてくるということだと思います」
迫られた“身を切る改革” 人口減少率は道内最大23.4%
夕張市は2026年度末までに、およそ353億円の借金をすべて返済する見通しです。
ただ、地域の課題が消えるわけではありません。
夕張市の人口は1960年の11万人をピークに減少を続け、2026年4月時点で5710人に。
人口減少率は道内最大の23.4%でした。
使われなくなった建物は放置され、マチの景観に陰を落としています。
(前川信堅さん)「こういう野生を見せるという体験ツアーがあるんですけど、そういうのも昔はやっていました」
マウントレースイスキー場で支配人を務める前川さんです。
スキーのインストラクターの資格を持ち、30年ほど前に大阪から移住しました。
スキーシーズンが終わってからも点検は欠かせない作業の一つです。
前川さんは夕張の教訓を若い世代に伝えようと、20年ほど前から道外の高校生らを案内し、マチの魅力も発信しています。
(前川信堅さん)「夕張市も自然がたくさんあるし、スキー場があったり、やっぱり魅力を発信していくことが一番大事かなと思うんですけどね。来てくれたことによっていいマチだなと思って移住して来ようっていう人が増えればいいんですけれど」
人口減少が進む中、市が取り組んでいるのがコンパクトシティー構想です。
市内3つの拠点エリアに住宅や公共施設を集約し、住民にとって住みやすい環境をつくります。
その核となるのが、2020年にオープンした複合施設「りすた」です。
図書館など市民が集える機能を持たせたほか、隣には2030年を目標に新たな市役所の移転計画も進んでいます。
(夕張市 厚谷司市長)「みんなで手を携えて前に進んでいこうと。また夕張に戻っておいでよと言えるようなマチづくりをしていきたい」
夕張の再生に取り組んできた鈴木知事はー
(鈴木知事)「破綻のお金を返し終わりました。じゃあいよいよ自分たちでちゃんと作り上げていきましょうというタイミングなので。道もいまそこをサポートしながらやっているところなんです」
小さくても魅力のあるマチとして歩み始めることができるのか。
これからが真価を問われることになりそうです。