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【1分間に3回呼吸】寝息を調査…冬眠する巨大クマの姿 なぜ住宅街に?研究進まぬクマの生態に迫る 北海道

2025年、全国で相次いだクマの被害。

北海道内でもクマに襲われ死亡する事故がありました。

なぜ住宅街に現れるのか、解決の糸口を探るため、まだ研究が進んでいないクマの生態に迫ります。

(ベア・マウンテン 坂出勝園長)「基本的にここから先は一般の方は入れません。危ないので」

11頭のクマを飼育する、新得町のベア・マウンテンです。

冬の間は休園し、野生のクマと同じく冬眠させています。

(ベア・マウンテン 坂出勝園長)「400キロを超えています。びっくりすると思います、この体格」

檻の中で眠る、体重420キロのオスグマ。

(ベア・マウンテン 坂出勝園長)「きょうで絶食10日目。仮死状態までならないので、うつらうつら寝ている状況。時々起きて水分補給をするのがよくあるパターン」

坂出園長は毎日、クマの呼吸音を聞いて眠り具合を確認します。

(ベア・マウンテン 坂出勝園長)「いびきほどではないけど聞こえます。この子で1分間に3回くらい。標準的な寝方をしている」

この園では、秋にエサを増やしてクマを太らせ、冬に絶食させることで冬眠を促します。

しかし、もし野生のクマが十分なエサを得られなかったらー

(ベア・マウンテン 坂出勝園長)「ブナとかドングリが凶作ですから、(野生の)クマにとっては厳しい冬になる。冬眠の季節になったから痩せているけど寝ようとはならないですよね、自分の命かかっていますから。そうなるとマチに出てきてエサを食べたい太りたいとなる」

過去最長…冬まで箱わなを設置する異例の事態に

砂川市のハンター・池上さんです。

雪が降っても箱わなの見回りを続けていました。

(猟友会砂川支部 池上治男支部長)「エサはあるけど雪が積もっているから」

(吉岡記者)「中には何が?」

(猟友会砂川支部 池上治男支部長)「シカ肉」

4か月にわたってヒグマ注意報が発出された異常事態をうけて、過去最長となる12月8日まで箱わなを設置していました。

(猟友会砂川支部 池上治男支部長)「ひどかったな、ことしは」

(吉岡記者)「来年はどうなる?」

(猟友会砂川支部 池上治男支部長)「変わらないよ。ヒグマ(を駆除して)いなくなったら新しいヒグマが入ってくる」

2025年に砂川地区で捕獲されたクマは16頭。

それでもいたちごっこのように出没が相次ぎました。

(猟友会砂川支部 池上治男支部長)「ヒグマ自体の数を減らさない限りはこの状態が何年も続いていく。いろいろな意味で対策するべきだと傾いてきた。具体的に進んでいるかと言うとまだこれから」

札幌でも相次いだクマ出没 円山動物園も一時休園に

(吉岡記者)「男性が襲われた公園では、ハンターが猟銃を持って警戒にあたっています」

9月、札幌市西区の公園で散歩中の男性がクマに襲われ、右腕をけがしました。

市内の住宅街では4年ぶりの人身被害でした。

多くの人が訪れる円山動物園も一時休園する事態となりました。

(円山動物園 木田竜介さん)「このあたりに足跡があった。当時積雪があり、クマの足跡がここにあった」

動物園の敷地内にはっきりと残された、幅10センチの足跡。

(円山動物園 木田竜介さん)「フェンスは3メートルほどの高さがある。今までの歴史でなかったことで想定していなかった」

園内のカメラには連日、侵入を繰り返すクマの姿がー

2025年はまさに“異常事態”と言えるほど人の生活圏への出没が相次ぎました。

道内初の“緊急銃猟”も 専門家「根本的な対策を」

西区西野では道内初となる緊急銃猟が実施されました。

2025年に札幌市内で駆除されたクマは19頭。

過去10年で突出して多い数字となりました。

(木原稔官房長官)「本日新たな“クマ被害対策パッケージ”をとりまとめました」

政府は深刻化するクマ被害に対応するため、「ガバメントハンターの確保」や「警察官によるライフル銃の使用」など、駆除の強化を打ち出しました。

しかし、専門家は根本的な対策が必要だと指摘します。

(北海道大学 下鶴倫人准教授)「食べ物があるとクマが理解している限りは、なかなか改善しないだろう。人間とクマは陣地争いをしてきた。クマの領域がどんどん人間側に近づいてきている。クマに押されているという見方もできるかもしれない。出てくる理由をしっかり知って、原因や経路をしっかり把握して、防除という面の対策を(駆除と)同時に進めていかないと、駆除だけしていれば問題は解決するのかと言えば決してそうではない」

12/30(火) 08:19

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