“国際線”定着のカギ握る「アウトバウンド」の獲得へ 海外に向かう旅行需要のヒントが帯広に 北海道
新千歳空港だけではなく、北海道内の空港では国際線の新規就航が相次いでいます。
定着のカギを握るのはアウトバウンド・いわゆる道民の利用強化です。
その好例と言われる帯広と韓国の地方都市を結ぶ路線に、北海道の空の未来…
そのヒントがありました。
帯広空港の悲願!韓国への国際定期便
韓国の格安航空「エアロK」。
帯広・清州線は2025年5月に就航。
これは帯広空港の「悲願」でした。
この日も帯広から韓国に向かう人でこの行列!
週2往復。
帯広初の国際定期便です。
(釧路からの利用客)「美容です。肌管理や注射したりきれいになって帰ってきたい」
(釧路からの利用客)「済州島に行って夏休みを楽しむ」
こちらの2人は姉妹で韓国旅行に!
お目当てはなんですか?
(妹・長谷川芽久さん)「韓国は10回くらい行っている」
(姉・林未佳さん)「買い物とご飯を楽しみたい」
(宇佐美記者)「道内の空港では国際線の新規就航が相次いでいます。帯広空港では韓国中部の都市・清州と結ぶ路線が運航されています。この路線がいま、国際線の維持・拡大に向けて注目されているんです」
北海道の地方都市・帯広と韓国の地方都市・清州を結ぶ路線が、なぜ全国的にも注目されているのか?
その最前線を探るべく、STVのカメラも韓国・清州に飛びました!
帯広からおよそ3時間。
「帯広の人にPRしたい」空港の運営会社が“清州”に注目
これが清州市。
高層ビルも見え、大都会の印象ですが…
人口はおよそ88万人。
昔ながらの商店街は、活気に満ち溢れています。
豚のバラ肉を鉄板で焼き上げる、日本でも大人気の「サムギョプサル」発祥の地としても知られています。
歴史的な建造物も多く、まだ知られていないスポットも多いこのマチに、北海道から訪れた男性2人がー
帯広空港や道内7つの空港を運営する北海道エアポートの杉本順康さんとバン・サンヒョクさんです。
(北海道エアポート 杉本順康さん)「見どころらしいです。青々しくて涼しくて、すごい歴史の重みを感じる。帯広の人にPRしたい。ここは絶対に見にきた方がいい」
(北海道エアポート 杉本順康さん)「これ釧路湿原にあったような気がする」
(カメラマン)「ウインナーが刺さっているみたい」
(北海道エアポート バン・サンヒョクさん)「空港会社なので商品をつくることはできませんが、空港をたくさんの人に使ってもらいたいとなった時に、日本の旅行会社はあまりこういったところを知らない人も多いと思うのでお連れして、こういったところもあると紹介している」
(北海道エアポート バン・サンヒョクさん)「レトロな公衆電話だったりカルメ焼きだったり」
(北海道エアポート 杉本順康さん)「カルメ焼きは日本と一緒だよね」
(北海道エアポート バン・サンヒョクさん)「昔これ学校の前で50ウォンで売っていた」
(北海道エアポート 杉本順康さん)「日本では1970年くらいの時、僕らの子どもの時はこうやって食べてた」
北海道エアポートの2人はなぜ清州に注目するのかー
そのワケがこのデータです。
道内の空港を利用した出入国者のうち、日本人の割合はわずか5.8%。
北海道から海外へ向かう旅行者・いわゆる「アウトバウンド」を増やすことが、路線の維持と拡大に向けた最大の課題なのです。
(子ども)「なんて読むの?」
(出展者)「チョンジュって読みます」
札幌でも海外旅行の魅力を発信するイベントに清州市が出展。
北海道からの観光客を増やそうとPRに余念がありません。
(海外旅行の経験なし)「物価高で足が遠のいているが、子どもと一緒に(海外に)行ってみたい」
(約20年前に海外旅行)「安いツアーも出ているし、また行きたい」
潜在的な海外旅行需要も掘り起こし、就航当初1割だった帯広・清州線の日本人利用者は、わずか4か月で4割まで伸びました。
清州に目を付けたもう一つの理由。
(清州市文化体育観光局 ジョン・サンミ局長)「清州空港は韓国の真ん中にあり、韓国のどこにでも行ける中心地にあるので」
帯広からの清州便「韓国が近くなった」需要も拡大
帯広空港で出会ったあの姉妹、林未佳さんと長谷川芽久さんです。
2人の姿は首都・ソウルに。
清州からは高速鉄道で1時間ほどです。
ソウル市内を散策中、驚いた2人の視線の先には…行列が!
(妹・長谷川芽久さん)「どうでしょう…これは並ぶか、並ばないか」
SNSで目をつけていた人気の飲食店の大行列!
旅の楽しい迷いに姉妹が翻弄されます。
(妹・長谷川芽久さん)「えー!どうしよう、並んでみる?」
(姉・林未佳さん)「並んでみよっか…」
ついに憧れのグルメ・本場のユッケビビンバとご対面。
(2人)「おいしい!」
(姉・林未佳さん)「甘めの味付けだね」
(妹・長谷川芽久さん)「好きな味付け」
Kポップをきっかけに韓国が好きになったという姉の未佳さんは、自宅がある帯広からの清州便に、韓国が近くなったと喜びます。
(姉・林未佳さん)「自由な時間も」
(妹・長谷川芽久さん)「自分のことができる時間は本当に貴重な時間なので」
(姉・林未佳さん)「何もなくても楽しい。いるだけで非日常」
こうした需要の拡大の陰には…
空港会社だけではなく、地元の事業者や自治体の一体となった取り組みがあるのです。
(清州市役所観光課 ナム・サンテクさん)「北海道エアポートと清州市がこうして交流しながら協力して、清州の人が北海道にたくさん行って、北海道の人が清州にたくさん来るように観光交流を続けていきたい」
ただ、航空燃料の高騰などで帯広・清州便は9月から運休。
元日には運航再開予定ですが、地方空港の国際線を維持していくには安定した需要が不可欠です。
そこで…!
アウトバウンドの掘り起こしがカギ
(宇佐美記者)「清州と帯広を結ぶ路線を今後どのように定着させるか。そこで取り組んでいるのが、文化やビジネスを通じた交流の促進です」
北海道エアポートの杉本さんとバンさんが訪れたのは、韓屋と呼ばれる伝統家屋が並ぶ観光地です。
韓国の伝統衣装を身にまとい、歴史と文化を肌で感じることができます。
(北海道エアポート 杉本順康さん)「ここを見学したかった」
(北海道エアポート バン・サンヒョクさん)「ここでみんなでワイワイやる」
(北海道エアポート 杉本順康さん)「素敵だね」
10月にはこの部屋に、帯広の高校生が宿泊予定。
サッカーの親善試合をきっかけに、韓国の歴史を体感してもらいたい…という戦略です。
(北海道エアポート バン・サンヒョクさん)「観光からまずは始まると思うが、それ以外の地域間交流や相互交流、文化交流、スポーツ交流含めて交流の幅を広げることによって、路線そのものも強くなると思う。いろいろな方面からアプローチしていきたい」
インバウンドだけではなく、北海道から海外へ。
地方空港の未来の空が「視界良好」となるか。
アウトバウンドの掘り起こしがカギをにぎります。
