「たった1人のかわいい弟が殺された」死亡した大学生の家族「あまりにもむごい」江別集団暴行死
北海道江別市で2024年、男子大学生が男女6人から集団暴行をうけ死亡した事件の裁判員裁判で、2026年6月5日、川村葉音被告(21)の審理が結審し、検察は無期懲役を求刑しました。
強盗致死などの罪に問われているのは、川村葉音被告(21)と滝沢海裕被告(当時18)、少年(当時16)のあわせて3人です。
起訴状などによりますと3人は2024年10月、江別市の公園で長谷知哉さん(当時20)と交際していた八木原亜麻被告らと共謀し、長谷さんに暴行を加えて死亡させた上、現金やカードを奪うなどしたとされています。
3人はいずれも起訴内容を認めていて、札幌地裁は3人に対し「強盗致死罪が成立する」との判断を示し、分離して審理が進められています。
裁判の最大の争点は量刑で、川村被告の裁判は6月5日、被害者遺族による意見陳述や論告・弁論などが実施されました。
被害者の父親の意見陳述(弁護士が代読)
私は被害者の父親です。事件から1年7か月以上が経ち、今日までできることは線香をあげることのみでした。
川村被告には死刑か無期懲役しかない。そうでないと息子が報われない。
息子は手がかからない子でした。勉強をしろと私から言ったことが無かった。息子とは車で2人で旅行に行った。スケジュールはすべて息子が立ててくれていた。
20歳という若さで、好きな仕事に就くこともなく将来を奪われた。なぜうちの息子がこんなことになったのか。計画的ですよね?
川村被告はとんでもないです。死刑でなければ、無念で無念で仕方がない。私は死刑か無期懲役かしか考えられない。
被害者の母親の意見陳述(弁護士が代読)
私は被害者の母です。今も、悲しみや息子に二度と会えないさみしさ、どうにもならない気持ちに日々悩んでいます。
息子は勉強だけでなく、部活や生徒会も頑張っていた。1人暮らしを始めてからは気が合う友達もでき、ボランティアなどをしながら忙しくも充実した日々を過ごしていたユーモアのある子だった。
江別警察署から、遺体が息子かもしれないと連絡が来たときは震えが止まらず頭の中が真っ白になった。
やっと会えた息子はいつもと違う顔をしていた。名前を呼んでも答えない。息子が受けた暴行を知ると胸が苦しくなる。犯人がにくい。息子がなぜこんな目に合ったのか分からない。
川村被告、あなたは他人の別れ話に首を突っ込み関係のない男たちを連れてきた。あなたも何度も暴行している。あなたの行動・言動が死を招いた。
息子の無念を晴らすために極刑を望みます。
被害者の姉の意見陳述(本人が出廷)
私は被害者の姉です。たった1人のかわいい弟が殺された。弟がいない1日が始まるという虚しさで生きる気力を失い、何のために生きているのか分からなくなった。
弟とはとても仲が良かった。会えなくても連絡を取ることが多かった。
お酒を飲んだのも1,2回しかない。一緒にラーメンを食べに行ったのも最初で最後になってしまった。2人で両親を旅行に連れて行こうと言われたが叶うことがなくなってしまった。
江別市の公園で身元不明の遺体が見つかったというニュースを見ていて「えっ」と思った瞬間に電話が鳴った。
再会した弟の顔は原型をとどめていないほど腫れていてパニック状態になった。早く帰ろうと声をかけるも反応がなかった。弟の死に顔や遺骨の重さを私は絶対に忘れない。
どうして殺されなければいけないのか全く分からない。何度も謝ったのに、しまいにはお金や命を奪われた弟。ラーメンを食べて帰るなんて正気か。弟はどんな気持ちで死んだんだろう、とにかく絶望と悲しみが弟を襲っていたと思う。被告たちには心の底から死んでほしいと思っています。
川村被告は暴行の流れを作った。もうやめようと言えば助かったのかもしれない。保身しか考えていないのはなぜなのか。人としてどうしてこんなことができるのか。反省や焦りを感じていない態度。
罪のない人の命が奪われたのに、罪を犯した人が法律で守られるのはおかしい。同じ目に合わせてやりたい。そのためには極刑しかない。
若いから、主犯じゃないからなんて関係ない。弟だって若い。あまりにもむごい、罪のない人の命を奪った重さを追及してほしい。私は命が尽きるその日まで戦う。絶対に許せない。
論告
検察は情状を酌量する余地はないとして、無期懲役を求刑しました。
・被害者にきわめて強い肉体、精神的苦痛があったと認められ、被害者の状況などからは一切生命や身体に配慮することが無かったことが伺える
・暴行態様などから強固な強盗の意志があったと評価するほかない
・被害者が重篤な状態であると認識できたのに、被害者の生命軽視が甚だしい
・犯行の原因を作ったのは川村被告ですべての発端であり、暴行を誘発したのも川村被告である
・金品を要求する前の暴行で、暴行を加えていたのは主犯格とされる川口侑斗被告の他には川村被告のみである
・怒りに任せて自発的に暴行や金品の要求をしていて、自らの意志で行動していたと評価するほかない
弁論
一方、弁護側は懲役13年の有期刑を求めました。
・暴行の途中で財物奪取の目的が生じたものであり、もともと強盗や財物を奪う目的がなく、加害行為の目的もなかった
・計画性がなく、偶発的に行われた犯行である
・被害者の出血の6~7割が頭部からだが、川村被告が加えた暴行は頭部以外の箇所へ数発であり、川村被告の暴行は死への寄与度が低い
・川村被告が主犯格である川口被告にトラブルを話したことが本件発生のきっかけではあるが、川村被告は6人の中での発言力が低く、川村被告の発言を誰も気にしていなかった
・川口被告への畏怖や、高校時代のいじめられていた経験から、川村被告は周囲に流されやすい性格である。また、思っていることをすぐに口に出してしまう特性から後先を考えず、川口被告へトラブルを話してしまっただけであり、積極的な加害性がない
・暴行を止めなかったことについても、交際していた少年Aから暴力をふるわれていたことで、暴行に対する感覚が麻痺していただけで、加害目的や利益目的で止めなかったわけではない
審理の最後に「何か言いたいことはあるか」と聞かれた川村被告は、「事件を起こしたことで、多くの人につらい思いや毎日苦しい思いをさせ申し訳ありません。遺族の皆様には大切な家族の命を奪って本当に申し訳ありませんでした」と謝罪しました。
判決は6月25日に言い渡されます。
※STVでは今回の裁判の「特定少年」について、事件の重大さや社会的影響などを総合的に判断し、実名で報道しています。