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災害時の孤立リスク 国道寸断で町全体が“陸の孤島”となる自治体も…迂回路が作りにくい事情 現状と対策を取材 北海道

北海道内には、津波や土砂崩れなどの災害が発生した際、孤立する恐れのある地域があります。

食料や水なども届かなくなる孤立のリスク。

命を守るための対策を取材しました。

土砂崩れで266世帯が4日間にわたり孤立

世界自然遺産の知床。

豊かな自然を求めて、多くの観光客が訪れます。

羅臼町に住む小林廣幸さん。

いまでも鮮明に覚えていることがあります。

(根本記者)「ここはどういう場所?」

(小林廣幸さん)「ここはまさしく土砂崩れがあって、倉庫とか全部飲まれてしまった。あの辺の近くまで土砂が広範囲に出てきた」

2016年8月、羅臼町の海岸町地区で大規模な土砂崩れが発生。

連日の豪雨によって地盤が緩んでいたことが原因とされています。

1本しかない道道は土砂に覆われ寸断。

266世帯760人が4日間にわたって孤立する事態となりました。

羅臼町で観光船事業を営んでいる小林さん。

(小林廣幸さん)「当時この船と3~4隻体制で運送していたんじゃないかな」

半島の先端に取り残された住民を、小林さんらが交代で観光船などに乗せ、学校や商店のある地区へ送り届けました。

(小林廣幸さん)「その当時は大変だったと思う。港までの送り迎えとか(船の)乗り降りだとか。だから家族も大変だった」

孤立した地区で必要になるのが、避難所です。

(根本記者)「当時孤立状態となった岬町地区では、避難してきた地元の人や観光客などが、まさにこの場所に身を寄せていました」

当時、最大で69人が避難。

ただ、ここが避難所として使われたのは、10年前だけではありません。

(岬町町内会 中村敏男会長)「2年前にも土砂崩れがあって一時孤立して、ここで観光客7~8人が一時避難していました。道路1本道だから、(孤立は)どうしようもないと我々も覚悟しているんですけども」

新たな道路を作るのは「非常にハードルが高い」世界遺産が壁に

このような事態を想定して、町は備蓄品を海沿いの7か所に分散して保管しています。

備蓄しているものを見せてもらうとー

(羅臼町総務課 青田康二郎防災監)「羅臼町内で7か所のうちの1つの備蓄している場所になります。500人の人が来ても2食、1000人が来ても1食あたるような、かなり多い数を備蓄しています」

また、半島の先端部にある避難所ではー

(根本記者)「こちらは津波発生時の避難所にも指定されている施設です。ここに積まれているのは全て、観光客用の保存水です」

知床を訪れる人への対応も進められていました。

迂回するための別ルートを作ろうとしても、知床ならではの事情が立ちはだかります。

(羅臼町総務課 青田康二郎防災監)「知床は世界遺産にも指定されているので、そこで新たな道路を作るというのは非常にハードルが高く厳しい」

津波で港が使えない場合…残る手段はヘリコプターのみ

孤立のリスクがある地域は、ほかにもあります。

4000人近くが暮らす、日高のえりも町です。

周辺のマチにつながる道路は国道1本しかなく、最悪の場合、マチ全体が孤立する恐れがあります。

その区間の多くが急斜面と海に挟まれていて、険しい地形となっていることがわかります。

マチでは新たな建設工事が進められていました。

(えりも町目黒自治会 佐藤州二会長)「ことしの11月に完成予定。いままではこの下に避難所があったが、そこでは低すぎるということで、(新しく)避難所の設置をしてもらっている場所です。ここは(高さが)20メートルくらいあるので高台に作ってもらった」

高台に建設中の避難所です。

佐藤さんたち住民が懸念しているのは、巨大な津波。

えりも町は海岸線が50キロ以上と非常に長く、孤立すると支援が行き届くのに時間がかかる恐れがあるからです。

過去にも津波や高潮で海水が押し寄せたほか、雪崩が発生し、道路が寸断したこともありました。

佐藤さんが暮らす東部の目黒地区でも、最大で16.8メートルの巨大な津波が押し寄せるとされています。

佐藤さんは物資の補給が滞ることよりも、町外に出られなくなることのほうが不安だと言います。

(えりも町目黒自治会 佐藤州二会長)「食べ物は半日~1日なくても、けが人が出た場合はそちらの方が一刻を争う状態になる。その方が心配」

道路が寸断され、津波で港が使えなくなれば、残る手段はヘリコプターによる空輸のみ。

町内には着陸できる場所が設けられているものの、えりもは文字通り「風のまち」。

強い風が吹き荒れることもあり、いつでもフライトができるわけではありません。

町では新たな道路の建設を目指してきましたが、難航しているといいます。

(えりも町 大西正紀町長)「(代替道路の)要望はずっと続けてきた。この頃は少し国も北海道も考えてくれるようになった。そこは本当にありがたいという思いはある。ただ、地形的に簡単ではないということは理解している。2~3年で代替道路を作ることができるかというと、厳しいかなという思いがある」

こうした状況を踏まえ、非常食などの備蓄を進めていますが、その量は目標の半分程度にとどまっているのが現状です。

専門家は自治体の支援に頼るのではなく、個人での備えがカギになると話しています。

(北海道大学 高橋浩晃教授)「半島地域も孤立の恐れがあるが、それ以外にも国道・道道が限られていて、その地域で災害が起こった場合に孤立してしまう地域は道内あちらこちらにあると考えている。少なくとも各家庭で1週間ぐらいの備蓄を考えておくことが重要」

(根本記者)「この美しい山と海に挟まれた道路が、地域に暮らす人々の普段の暮らしを支えています。万が一災害によって寸断したとしても、ある程度の期間生活できるように、備えを進めておくことが大切です」

06/27(土) 07:35

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