保護猫活動が直面する“物価高” 120万円赤字の月も 命を守る使命とやりがい…持続可能性は 北海道
飼育放棄などで行き場を失った猫を新たな飼い主に届ける保護猫活動。
いま深刻な物価高に直面しています。
その中で、1匹でも多くの命を救おうと奮闘する活動を追いました。
光熱費が月に30万円…赤字が続くワケ
北広島市で開かれた保護猫の譲渡会です。
新たな飼い主を探そうと23匹の猫が集まりました。
(参加した人)「かわいい、こんにちは」
こちらの親子は1匹の猫が気に入ったようです。
(参加した人)「エサは大人用の普通のカリカリ?」
(ツキネコ北海道 滝澤礼奈さん)「大人用で。よく食べます。朝も1番食べていました」
(参加した人)「保護猫を迎えたいなと思いまして。なるべく助けになればなと思って」
親子はまずお試しで猫を飼うことにしました。
行き場を失った猫と新たな飼い主をつなぐ保護猫活動。
それがいま、窮地に立たされています。
譲渡会を主催したNPO法人「ツキネコ北海道」です。
札幌市中央区にある保護猫シェルターには、およそ70匹の猫が暮らしています。
いま頭を悩ませているのが…
(ツキネコ北海道 滝澤礼奈さん)「ほら見て(光熱費)月30万円。30万円ってやばくない?」
冬に欠かせない暖房費などの光熱費や医療費が物価の高騰で重くのしかかります。
(記者)「月の赤字・黒字は?」
(ツキネコ北海道 滝澤礼奈さん)「ほら真っ赤。8月9月で(それぞれ)赤字120万円超えですよ。エアコン代とか、夏場ことし(去年)暑かったので、光熱費もちょっと高め」
保護猫は育った環境から体の弱い猫も多く、場合によっては手術や治療が必要です。
(ツキネコ北海道 松本マリアさん)「この子は尿道の手術をした子。尿道が細くて、おしっこが出づらい子だったんですよ」
手術費はおよそ15万円。
「ツキネコ北海道」の運営は寄付金などで賄っていますが、それだけでは足りません。
(ツキネコ北海道 松本マリアさん)「なのでこの子は(普段とは別に)フォーカスして、こういう手術をしましたと寄付を募ったりしています」
1か月の医療費は100万円以上。
5年前に比べ1.5倍に増加しました。
経費削減の工夫重ねるも…命を救うためにかかる費用
その負担を少しでも減らそうと、こんな工夫もしています。
(ツキネコ北海道 松本マリアさん)「はい、いい子だね」
2025年、3人のスタッフが「愛玩動物看護師」の国家資格を取得しました。
(ツキネコ北海道 松本マリアさん)「病院に行くとどうしても医療費がかかってしまうので、できることは自分たちでやるようにしてます」
(ツキネコ北海道 松本マリアさん)「この子が腎臓がちょっと悪くなってしまって、毎日の点滴が必要なので」
資格を得ることで毎日病院に通わなくても、獣医師の指示のもと、点滴や採血ができるようになりました。
しかし、費用の負担はそれだけではありません。
(ツキネコ北海道 滝澤礼奈さん)「おじゃまします」
この日訪れたのは、札幌市内の一軒家。
猫が増えすぎて適切に飼育ができない「多頭飼育崩壊」が起きていました。
(ツキネコ北海道 滝澤礼奈さん)「かわいい、離乳してそうだね」
なかには生まれたばかりの子猫も…
(ツキネコ北海道 滝澤礼奈さん)「この三毛がお母さん猫?」
(住人)「そうそう、しっぽ長いでしょ」
(ツキネコ北海道 滝澤礼奈さん)「しっぽ長い」
住人の70代の女性も何匹いるのか正確に把握できていません。
(住人)「私も年だし、腰も痛くて病院にかかっているから。うちらも不妊手術というのを全然知らなかったから、それでちょっと増やしちゃった。(ここまで増えると)思わなかった」
およそ1か月間、車で通いながら50匹近くの猫を保護してきました。
時には多頭飼育崩壊から猫を救うため、遠出することもあるといいます。
(ツキネコ北海道 滝澤礼奈さん)「北海道はやっぱり広いので、根室管内にも行きましたけど、行くだけでも7~8時間かけて行かないといけないので、交通費ですとか、人件費もそうですけど、宿泊もしたから宿泊費とか、獣医さん派遣してその出張費とか」
(ツキネコ北海道 滝澤礼奈さん)「じゃあ連れていきますね」
この日、保護したのは3匹の子猫です。
生後1か月とみられますが、すぐに譲渡という訳にはいきません。
(ツキネコ北海道 滝澤礼奈さん)「ワクチンはまだ打てない大きさなので。それまでは育てて、あと保護猫はエイズ・白血病の検査もするので、検査できるまでは必ずうちで面倒見るというふうにしています」
小さな子猫が冬場でも元気に過ごせるよう、最大限のケアが必要です。
(ツキネコ北海道 滝澤礼奈さん)「ホットカーペットです、ペット用の。母猫と離れたので、暖をとれるようにしてあげないといけないので」
燃料費はかさみますが、暖房をつけっぱなしにせざるを得ないといいます。
(ツキネコ北海道 滝澤礼奈さん)「夏場の倍は(光熱費)かかりますね。電気まめに消そうとか。でも具合悪い子がいたらそうもいかないので、暖かさはキープしてあげようと思っています」
カフェ売り上げあっても厳しい運営 やりがいだけで続けられるのか
物価高に苦悩する中、寄付金に頼らないところもあります。
2025年10月、札幌市清田区にオープンした保護犬と保護猫のカフェです。
(アネラカフェ札幌清田店 田村裕之さん)「継続的な寄付を受けられる環境であればそれに越したことは無いが、光熱費とかこの物件の賃貸料とかを出すって言うのは(寄付金だけでは)難しいかなと思います」
この店には、ある特徴がありました。
(職業指導員)「頑張れ頑張れ、良いよ」
爪切りのサポートをしているのは、障がいがある女性です。
(職業指導員)「そのままこっちに向けられますか?向いたかな、あと左手を出すだけ」
このカフェは、障がい者が働く就労支援事業所に指定されているほか、カフェやトリミングサロンなどの売り上げを活動費にあてています。
それでも運営は苦しいのが現状です。
(アネラカフェ札幌清田店 田村裕之さん)「ごはんや排せつ関連のものも日々かかってくるものなので、そういったものが物価が高騰して軒並み高くなっているなかで、大変厳しい状況が続いています。事業を収益化して、長く保護活動を続けることを目標にやっている」
札幌に住む親子が2匹の保護猫を相性を確かめるために引き取りに来ました。
(引き取りに来た親子)「兄弟2人で仲良かったので、一緒に入れたら良いなって。少しでも助けられたらという感じで」
(ツキネコ北海道 滝澤礼奈さん)「猫のことで困っているのは人だったりするじゃないですか。助けた猫で誰かが幸せになることってすごいやりがいにも感じますし。猫を通して、人の暮らしとか幸せなことが1個でも増えたら良いなと思ってはいます」
行き場を失った猫を1匹でも多く救いたいー
物価高に苦しみながらも新たな家族とともに幸せに暮らせるよう活動を続けています。