“クマから市民を守るため” 司法の場で戦い続けるハンター 最高裁で異例の“口頭弁論” 砂川猟銃訴訟
北海道砂川市のハンターの男性が、猟銃所持許可の取り消しは違法だとして道を訴えている裁判で、最高裁で異例となる口頭弁論が開かれました。
男性側を逆転敗訴とした2審判決が覆る可能性があります。
2月27日、最高裁に姿を現した砂川市のハンター・池上治男さん。
まっすぐと前を向いて法廷へと向かいました。
司法の場で戦うことを余儀なくされている池上さん。
その背景には2018年夏のある出来事がありました。
(池上治男さん)「子グマだから撃たなくて良いと言ったが、(市側が)どうしてもやってくれと言うから仕方なく撃った」
砂川市から要請を受けた池上さんは、警察官や市の職員の立ち会いのもと発砲し、クマを駆除しました。
しかしその後、周囲に住宅があったことなどを理由に、道公安委員会から猟銃の所持許可が取り消されたのです。
(池上治男さん)「やったは良いけどハンターの足を引っ張って平気でいられるという感覚。それをハンターの人たちは怒っている」
処分の撤回を求めた1審の札幌地裁は、池上さんの訴えを全面的に認め、道の処分は違法とする判決を下しました。
しかし、道はこの判決を不服として控訴。
2024年、札幌高裁が下した判断は「周囲の建物に銃弾が到達する恐れがあった」。
1審判決を取り消し、池上さんは逆転敗訴しました。
(池上治男さん)「クマを駆除した時に「人間を撃ったのと同じことなんじゃないか」みたいなことを言われた。ハンターを侮辱したような言葉を投げかけられたことを鮮明に覚えている」
司法の判断が分かれたのは、銃弾が周囲に危険を及ぼす可能性があったかどうかー
札幌地裁は銃弾はクマの体内に留まった可能性が高いと判断。
さらに、背後にあった斜面が銃弾を受け止める「バックストップ」の役割を果たしていたとしました。
一方、札幌高裁はクマを貫通した銃弾が草や石に当たり、跳ね返った可能性があると指摘。
斜面では安全を確保できず、住宅などに危険が及ぶとしたのです。
(池上治男さん)「4つ目のハウスのなかにヒグマが入っていった」
そんななか2025年、砂川市でのクマの目撃件数は200件を超え、過去最多となりました。
処分から7年余り。いまだ池上さんの手元に猟銃が戻っていません。
箱わなを使って2025年は16頭のクマを捕獲しましたが、増え続けるクマから市民を守るためには猟銃が必要だと考えています。
こうした中、2025年12月。
(中村憲昭弁護士)「最高裁判所が池上さんに対する猟銃取り消し処分の取り消しの上告受理決定の判断を下した」
最高裁が判決を見直すために必要な「口頭弁論」を開くことを決めたのです。
弁論が開かれるのは異例で、2審判決が覆る可能性があります。
26日、東京に向かった池上さん。
(池上治男さん)「7年間耐えてきた思いは私1人の問題ではなくて、(昨今の)クマの問題、人身事故にいたるまでになった。最高裁でしっかり精査してほしい、正しい判断をしてほしい」
発砲の安全性が問われた今回の裁判。最高裁は3月27日に判断を示します。