「子どもに誇れる仕事を」 子育てと両立して運転・操縦 産休や育休経て働く女性に密着 北海道
乗客の命を預かる公共交通機関の運転士。
女性がその役を担うケースも増えてきました。
産休を経て、子育てと両立しながらハンドルや操縦かんを握る、運転士やパイロットに密着。
知られざる運転席や操縦席の世界、カメラが捉えたリアルとはー
札幌市営地下鉄の運転士 産休・育休を取得し「取り戻してきた」
札幌市営地下鉄の運転士・紺野美紅さん。
6人いる女性運転士のひとりです。
(記者)「これから何を?」
(紺野美紅さん)「今は新さっぽろに着いて、奥の引き込み線に来たので、運転台の交換のために反対側の運転台まで向かっていきます」
(記者)「忘れ物チェックをしながら?」
(紺野美紅さん)「車内の忘れ物があれば持っていく」
(紺野美紅さん)「反対側の運転席についたので、これから入れ替え作業を行います」
4年前に駅員から運転士に転じた紺野さんですが…
3歳の愛娘・瑛麻ちゃん。
紺野さんは、地下鉄の運転士で初めて産休・育休を取得。
およそ2年のブランクを経て、運転席に復帰しました。
(紺野美紅さん)「もともと泊まり勤務もある仕事だったので、復帰した後、子どもがいる状態で仕事をできるかどうかという不安がありました。(子どもは)最近は多分運転士をやっていることを理解していて、敬礼とか家でまねしたりしていて。実際働く姿はまだ見ていないんですけど、早く見たいなと言ってくれているので、それをモチベーションに頑張っています」
職場も、子育てと両立できるよう、新たなシフトを組み立てています。
(記者)「お子さんが生まれてから仕事への向き合い方は変わりましたか?」
(紺野美紅さん)「産休・育休で長期間休んでいて、一からスタートになって、いまもフレッシュな気持ちで働いている。1人でまた運転できるか不安だったが、しっかり教習期間がまたあって取り戻してきた」
(紺野美紅さん)「ママのお仕事知ってる?」
(子ども)「知ってる」
(紺野美紅さん)「ママの電車今度乗りに来てよ、パパと」
(子ども)「いいよ」
(紺野美紅さん)「頑張るよ、ママ」
(紺野美紅さん)「お待たせいたしました。宮の沢行き発車いたします」
「人々の日常生活を支える仕事がしたい」と志した地下鉄の運転士。
自身も子どもがいる日常になり、その思いは一層強いものにー
育休から復帰した“運転士”は地下鉄だけではありません。
AIRDO初の女性パイロット 3年ぶりの操縦席
3年ぶりに育児から「空」へ戻る、AIRDOのパイロット・吉野奈津美副操縦士です。
シミュレーターで復帰訓練を重ねる日々。
北海道にも強い思い入れがあります。
(吉野奈津美さん)「パイロットになるからには、北海道に飛行機は不可欠なので、地元を支えるという意味では、北海道を就航している会社に入りたいという思いがあって」
吉野さんは2023年から産休と育休を取得。
2人の娘を出産し、3年ぶりに空の現場に戻ってきたのです。
復帰前の訓練は2か月に及びますが…
(吉野奈津美さん)「3年ぶりに(シミュレーターに)初めて乗ったときは、スイッチがものすごくたくさんあるんですけど、スイッチまでの距離感とか場所がうまく認識できなくて苦労しました。飛行機自体は変わらないんですけど、操作する手順のマニュアルが3年間で変わっているので、全部網羅して運行しなきゃいけないので、その変更点は整理する必要があります」
AIRDOのパイロットおよそ120人のうち、吉野さんは初の女性です。
そして、パイロットが産休と育休を取るのも会社で初めて。
後に続くパイロットのためにも、会社は体制作りに余念がありません。
(AIRDO運航本部乗員部 伊藤せいらさん)「1週間の勤務日数を減らして勤務できる短日勤務制度の導入検討を進めています。1人1人の家庭環境に合わせた復帰プランを相談しながら作っていけたらと調整しています」
復帰前の最終段階。
実際に乗客を乗せた飛行機を操縦する「路線訓練」。
羽田から帯広へのフライトも無事クリア。
上官役の機長も、ブランクの大変さについて、正直な心境を吐露します。
(機長 小室隆昭さん)「大変だと思う、3年間。僕も子どもがいて2週間休みをもらったときもあったが、2週間空いただけでもやっぱりフライト前は不安になるから」
(記者)「きょうはプレッシャーの中でもうまくできた?」
(吉野奈津美さん)「いやまだ訓練中なので反省点も多いが、きょうは帯広で鳥がたくさん飛んでいて、目でしっかり確認できてよかった」
訓練後はそのまま帯広に1泊。
宿泊を伴う訓練は、育休から復帰後、この日が初めてでした。
(吉野奈津美さん)「夫が(子どもたちと)いてくれるので一緒に、そこは不安は特にないですし。寂しいというのもちょっとあるんですけど、自分の仕事に戻って頑張ろうという気持ちと両方今はあります」
2人の娘を出産しフライト復帰「子どもに誇れる仕事を」
9月15日。吉野さん、ついに復帰フライトの日。
(吉野奈津美さん)「副操縦士が吉野です。3年くらい産休・育休してて、きょうから復帰します。よろしくお願いします」
乗客の安全を担うため、いつも平常心。
3年前と変わらぬ景色が淡々と流れているようですが…
いよいよ搭乗。
復帰戦は羽田から釧路までの1時間45分。
(機内アナウンス)「目的地の現在の天気は晴れ。気温は16℃です。それでは到着までごゆっくりお過ごしください」
3年ぶりの操縦席。
乗務直後にこぼれたのも「母親の気持ち」。
(吉野奈津美さん)「子どもは飛行機、乗り物が好きで、いつか(母親がパイロットだと)分かるようになったらどんな反応をするのか楽しみ」
乗客の命を預かるパイロット・そして運転士という仕事。
「子どもに誇れる仕事を」
出産・育児を経て、そんな思いも新たにきょうも「出発進行」!
