「ああ、きょう死ぬのかなと…」 被害者が法廷で意見陳述 手稲区ブランドショップ強盗 裁判詳報②
北海道札幌市手稲区で2025年9月、ブランドショップで高級腕時計などが奪われた事件で、強盗致傷などの罪で起訴された植田雄大被告の裁判員裁判が8月21日結審し、検察が拘禁刑10年を求刑しました。
強盗致傷などの罪に問われているのは、植田雄大被告(27)です。
起訴状によりますと、植田被告は起訴されている男4人と共謀して札幌市手稲区のブランドショップに侵入し、男性従業員を殴りけがをさせたうえ現金約36万円のほか販売価格およそ1200万円の腕時計などを奪ったとされています。
初公判で、植田被告は「間違いないです」と起訴内容を認めていて、裁判の争点は量刑です。
この事件では、植田被告を含め5人が起訴されています。そのうち指示役は宮越柚輝被告と富山空龍被告で、実行役が植田雄大被告と金住春樹被告と藤田理人被告です。
■ 植田被告の自首調書 ■
8月21日の裁判では、事件後に自主していた植田被告の自首調書が検察によって読み上げられました。
・指示役から「若いガタイの良い店員がいるから『ススキノで若い2人をやっただろ』と言え」と言われた。
・店員にクマスプレーをかけたところ、もみ合いになったので殴った。指示されていた脅し文句を言ったが、明らかに人が違うので困惑した。
・顔の前に手を持ってきて、暴行をガードする様子だったので、袋を被せて手と一緒に縛った
自首しようと思った理由については、指示役の富山被告と分け前でもめたと供述したということです。
■ 被害にあった男性店員の意見陳述 ■
裁判では、被害にあった男性店員が出廷し、意見陳述をしました。
もうすぐ事件から1年たちますが私の生活は一変しました。事件があった時、目出し帽をかぶった男たちが入ってきて、わけがわからないままスプレーをかけられ、暴力を一方的に振るわれた。
手を縛られ、頭にカバンの様なものを被せられて「ああ、きょう死ぬのかな」と思った。
10日くらい顔が腫れあがり、顔が痛くて外にも出られない状態だった。
(事件の1か月後の)10月から仕事に復帰しましたが、事件のことを思い出すと、気が沈みびくびくする。特に夜の時間は事件を思い出し、まともに仕事ができなくなる。
眼科医には目線がずれていると言われ、指を立てると2本に見えるようになった。
ガラスが割れる音が苦手になった。お客様にお渡しする大切な商品を奪われてしまう音だと感じるようになった。
なぜ私がこんな目に合わないといけないのか。元の体にはもう戻れない。私が何をした?
被疑者たちからはいまだに謝罪などはない。突然襲われ、暴力を振るわれる恐ろしさを人に与える、こんな人たちが社会で普通に生きているのが恐ろしい。
厳重な処罰をお願いしたい。
■ 検察の論告求刑 ■
検察は、植田被告について、犯行全体で重要な役割を果たしたと指摘しました。
・やめる機会は何度もあったが、やめることなく犯罪に突き進んだ
・植田被告は別件の詐欺の受け子として服役していて、出所後2か月で今回の強盗事件を起こしていることは強い非難に値する
全体の主導者と評価するまではいかないまでも、単なる実行犯とは言えず、犯行全体で重要な役割を果たしているとして、植田被告に対し拘禁刑10年を求刑しました。
■ 弁護側の最終弁論 ■
弁護側は、植田被告の自首が成立していることを主張しました。
・事件後に自ら出頭し、聴取についても犯罪事実を偽りなく答え、捜査に協力している
・指示役とのやり取りを警察に提供している。本来消えるはずだったシグナルでのやりとりを保存していたことで、捜査が進んでいる
植田被告が、罪を償うために自首したことで果たした役割は大きいとして、少しでも短い拘禁刑が適切だと主張しました。
■ 本人から ■
最後に裁判長から何か言うことはありますかと聞かれた植田被告は
「男性店員に謝罪ができていない。出社後は(植田被告を雇うと約束している更生支援活動をしている会社の)社長の下で働き、少しでも弁償していきたい。交友関係を見つめなおしたい」
と述べました。
判決は8月26日に言い渡されます。
