歌舞伎×アイヌ舞踊 人間国宝・坂東玉三郎さんが共演…隠されたつながり 北海道・ウポポイ
シリーズでお伝えしている「カムイと共に」。
あの歌舞伎俳優で人間国宝の坂東玉三郎さんが、アイヌの伝統舞踊と共演しました。
実は、アイヌ文化と歌舞伎には意外な繋がりが隠されていたのです。
人間国宝・坂東玉三郎さん アイヌ文化と歌舞伎の意外な繋がり
歌舞伎俳優で人間国宝の坂東玉三郎さん。
民族共生象徴空間・ウポポイで歌舞伎を披露しました。
アイヌ舞踊と初めての共演。
2つの文化の繋がりに迫ります。
(ウポポイ 野本正博館長)「館長の野本です」
(坂東玉三郎さん)「ごめんなさい、コート着ていて」
1月31日、北海道白老町のウポポイを初めて訪れた坂東さん。
(坂東玉三郎さん)「寒くはないの?」
(職員)「床暖房が入っているので」
(坂東玉三郎さん)「動詞や助詞はどう?」
(職員)「主語が最初にきて、動詞が後ろにくる」
民族伝統の言語や工芸品など、アイヌの文化に興味を寄せていました。
(坂東玉三郎さん)「きれい」
なかでもひときわ目を引いていたのはー
(ウポポイ 野本正博館長)「これがいちばん古い。これを着て渡海屋銀平(歌舞伎に登場)が」
民族伝統の織物「アットゥシ」。
「アットゥシ」はオヒョウの木の皮を糸に加工して作られます。
実はここに、アイヌ文化と歌舞伎の意外な繋がりが隠されていました。
船乗りたちが身に着けた「アットゥシ」が歌舞伎の世界にも…
江戸時代から明治にかけて、北海道から本州へニシンや昆布などを運んだ「北前船」。
船乗りたちは、華やかな装飾で着心地がよいアットゥシを好んで身に着けていました。
その北前船を通じて歌舞伎の世界にも伝わります。
三大名作のひとつ「義経千本桜」の衣装にアットゥシが登場。
250年以上も前の江戸時代の歌舞伎に、アイヌ文化が取り入れられていたのです。
(坂東玉三郎さん)「交流があってアットゥシを着ているというのは改めて見ると、あぁそうなんだなと思います。イヨマンテで自然のものカムイに祈るのと、偶然にも僕が踊るのが、親しかった人が亡くなって月にいるんじゃないかという踊り。どこの土地の人でも月や太陽、星や自然に対する祈りの気持ちは同じだと感じたので、お客さんにもそれを感じてくれるとうれしい」
初の試みとなるアイヌ舞踊と歌舞伎の共演。
坂東さんは、互いの文化の共通点だけではなく違いを知ることも大切だと話します。
(坂東玉三郎さん)「世界的に床を踏むというのは本能、魔よけ。能楽では奥の方を踏む、床ではなくて奥を踏む。この音だけでもいいんだけれども、どこかで奥を踏むという風に私たちは習います」
アイヌ民族の荒田裕樹さんです。
大舞台に向け、中心となって練習を積んできました。
(ウポポイ 荒田裕樹さん)「挑戦的ないい試みだと思っている。歌舞伎を見に来る人がメインにはなると思うが、そういう人たちにアイヌの伝統芸能がどのようにささるのかは挑戦で、気合が入っている」
古い歴史を持つアイヌ舞踊と歌舞伎…北海道の地で繋がる
公演当日、会場には長い列ができていました。
伝統芸能上演「イノミ」。
アイヌはあらゆるものに魂が宿ると考え、神・カムイへの「感謝」の思いが込められています。
坂東さんが演じるのは地唄舞「残月」。
短く儚い生涯を終えた娘と月の情景とを重ねて描いた地唄の名曲。
アイヌ舞踊と歌舞伎、古い歴史を持つ2つの文化が、長い時を経て北海道の地で繋がりました。
(客)「一緒にコラボして一緒に出てきてくれて感激しました」
(客)「歌舞伎は迫力があってすごかった。アイヌ舞踊も不思議なところが多くて、また見てみたいと思った」
(ウポポイ 荒田裕樹さん)「拍手の量でいままでの練習が報われた気持ち。指先から扇子の先まですべてに魂が宿っているようで、すごく勉強になりました」
(坂東玉三郎さん)「触れ合って心が通じて、儀式をする相手と目であいさつしてめぐり合った、そこから始まる。出会いを大切にして交流して、若い人たちが何かをつくるときに力添え出来たらうれしい」