「昆布を学べる小さな宿」 本場の味や漁師の営み体験 1日1組限定の宿に密着 北海道羅臼町
濃厚なダシの旨味で「昆布の王様」とも言われる「羅臼昆布」。
その魅力を広めようと、1日1組限定の宿があります。
そこには本場の味や漁師の営みを体験しようと「飲食のプロ」も多く訪れます。
漁師が始めた「昆布を学べる小さな宿」に密着しました。
キング・オブ・昆布といえば「羅臼昆布」
活気づく羅臼の浜。
昆布漁は7月解禁。
全国にも名高い「羅臼昆布」です。
(武田記者)「昆布の良い香りが漂っている専門店です。羅臼昆布が多く並べられています」
国内どころかその人気はいまや海外にも。
(武田記者)「どこから来ましたか?」
(購入した人)「台湾」
(カネヨ高橋商店 高橋ゆう子社長)「香りが良くて味が濃い。昆布の王様と呼ばれている」
類を見ない「濃厚なうま味」が、「キング・オブ・昆布」の名をほしいままに!
食のプロも舌を巻きます。
(飲食店の社長)「ありえないおいしさ。景色もきれい」
漁師が営む羅臼の小さな宿。
豊かな自然と漁師の思いが生み出す「羅臼昆布を学ぶ宿」が、今回の舞台です。
コンブ漁師の夫婦が「こだわりの宿」をオープン!
(加瀬里紗さん)「毎日キレイだから写真を撮っている。親方(夫の)一番かっこいいシーズン」
道東・羅臼町の加瀬里紗さん。
家族とコンブ漁を営んでいます。
羅臼昆布の漁が7月に解禁され、知床の海に自慢の季節が帰ってきました。
水揚げする夫の基敏さん。
作業は家族総出。
昆布は生活を支える地元の宝です。
(加瀬里紗さん)「奥が深くて歴史から知れば知るほど」
(加瀬基敏さん)「味がする」
加瀬さん夫婦は2025年、昆布の緑色をイメージしたこだわりの宿をオープンしました。
その名も「KOBUSTAY」です。
この宿の最大の特徴が、宿泊客が自ら調理する…ということです。
(加瀬里紗さん)「炊飯や鍋、みそ汁など自由に昆布ダシをお客さんの料理に使ってほしくて。一番やりたかった昆布漁師ならではのおもてなし」
この日の宿泊客は、顔なじみの常連さん。
実は…神奈川県の江ノ島で飲食店を経営する社長。
店で使うダシは全て羅臼昆布です。
この宿の受け入れは1日1組だけ。
素泊まり限定の部屋には調理器具やキッチンを備えますが…
この眺めとオシャレさも「調味料」のひとつです。
常連客「スッキリしているけどうま味が強い」
(江ノ島小屋 相澤規勝社長)「社員研修という言い訳の楽しい知床旅行。私の会社は公私混同なので」
旅行…ではなく社員研修は夕食の準備から。
プロの料理人は、加瀬さんが用意した自家製の昆布ダシに思わず…
(江ノ島小屋 寺澤翔料理長)「メチャクチャおいしい。スッキリしているけどうま味が強い」
この日のメインは、自慢の昆布だしで煮つけた羅臼のカレイ!
ご飯にも羅臼昆布が!
(江ノ島小屋 相澤規勝社長)「羅臼の神に感謝して…いただきます。うまいですよ」
(江ノ島小屋 山﨑良店長)「うまい」
(江ノ島小屋 相澤規勝社長)「ありえないおいしさ。景色とともに。自分たちが好きにできる自由と景色は素晴らしい」
午前4時から昆布作業の体験「羅臼昆布をもっと知ってほしい」
翌日の「社員研修」、始まりは午前4時前。
オプションで申し込んでいた昆布作業の体験プランです。
まずは前日に収穫し、沖に漬けておいた昆布を浜で洗う作業。
一見、簡単そうに見えますが…
(加瀬里紗さん)「白い石灰や突起物を、こういうのを残すと最終的な仕上がりに影響する。(洗い方で)あすになれば何等級かがわかってくる。(全工程は)23です」
(江ノ島小屋 山﨑良店長)「23分の1。先は長いですね」
出荷までは23工程。
洗った昆布は次々と干していきます。
ここでも自然との闘いです。
(江ノ島小屋 相澤規勝社長)「晴れた時に干して雲が見えたらしまって、また出してと。一つ一つ丹精がこもっているのを初めてここで知った」
浜に漁の開始時間を知らせる伝統の合図。
「KOBUSTAY」の加瀬基敏さんも、海をのぞき込みます。
育った昆布を見極めながらサオで絡め取る作業は、腰の曲げ伸ばしを繰り返す体に厳しい漁です。
格闘すること4時間。
船からあふれる昆布!
2度水揚げする日も。
(武田記者)「きょうの漁は?」
(加瀬基敏さん)「良かったよ。量的にはまずまずだけど質は良いと思う」
江の島から来たあの3人も、この日は特別に「研修」を続けることに!
昆布の漁法や文化を知るのも料理人には大切な知識。
漁に始まり1枚の昆布にかける23の工程はすべて手作業。
寝る間を惜しんで込めるマチの宝・羅臼昆布への思い。
(加瀬里紗さん)「こんなに工程数が多いのは羅臼昆布だけ。手をかければかけるほど羅臼昆布はダシがよく出るようになる」
(江ノ島小屋 寺澤翔料理長)「現場の人の思いが伝わったことが一番大きい。飲食店の客に伝えていきたい」
(江ノ島小屋 山﨑良店長)「細かい作業があってこそのできあがりが素晴らしい昆布だと思った」
自慢の羅臼昆布をもっと知ってほしい。
そんな思いで立ち上げた「昆布を学べる宿」ですが、予想外の反響があったと加瀬里紗さんは驚きます。
(加瀬里紗さん)「ファミリー層が来るイメージで開業したが、その道のプロの料理人が国内や海外から集まるというのは想像していない反響で、羅臼昆布を極めてもっと深く自分自身も勉強して、魅力をみなさんと共有していきたい」
手間ひまを惜しまない努力で味わい深いダシを誇る羅臼昆布。
浜にたたずむ小さな宿が教えてくれます。
