大量仕入れに露店での販売も 生き残りかけた青果店の挑戦 物価高のなか店舗は年々減少 北海道
物価高が続く中、マチの青果店は年々減少を続けています。
札幌市内では生き残りをかけて、青果店が様々な挑戦を続けています。
その戦略に迫りました。
「生き残っていくために…」青果店が“食肉の販売”に挑戦
山盛りの道産キャベツ1個95円。
ニンジンは5本入りで105円。
レタスはなんと5つで108円!
その安さは驚異的です。
(来店客)「めちゃめちゃ安いです。感動しました」
(来店客)「葉物野菜も高い中、お手頃な価格でありがたい」
店内には物価高を感じさせない激安野菜が並び、客のかごはあっちもこっちもいっぱいになっていました。
(深澤青果 深澤栄治社長)「鮮度も良く安くを徹底してきた。店舗数も多く1店舗の売り上げも高いので、仕入れる量もロットでたくさん仕入れることができるので、その分(問屋と)交渉しています」
深澤青果は札幌や千歳に6店舗を展開。
大量に仕入れることで激安価格を可能にしています。
創業から10年。
順調に業績を伸ばしてきましたが、2026年5月からは新たな事業に乗り出しました。
看板には「肉」の文字。
(深澤青果 深澤栄治社長)「精肉コーナーです」
野菜のほかに、食肉の販売を始めました。
野菜同様、肉も激安です。
生姜焼き用の国産豚のロースは100グラム税抜き108円。
国産の若鳥むね肉は100グラム税抜き68円です。
福岡の大手食肉小売・大三ミートとテナント契約し、業界大手の調達力によって激安価格を実現しています。
(来店客)「安くていい肉が手に入るのですごくありがたい」
(来店客)「肉がオープンしてからは肉はここと決めている」
なぜ人気青果店が食肉の販売に踏み切ったのでしょうか。
(深澤青果 深澤栄治社長)「生き残っていくために、ワンストップショッピングというか、一つの場所で全部買い物が済む、そうすれば集客も増え、今後の商売のためになると思ったので、精肉店と協力してやっています」
深澤社長が危機感を募らせる背景には、青果店をめぐる厳しい経営状況があります。
札幌市では1970年代をピークに青果店が減り続けていて、その原因はスーパーマーケットなどの増加や後継者不足とみられています。
今後の経営を見据えた食肉販売。
新たな戦略はすでに成果をみせているといいます。
(深澤青果 深澤栄治社長)「相乗効果で野菜も売れるので業績も伸びる。売り上げは精肉店が入って3割くらい増しています」
深澤青果は2026年中に食肉販売の店を新たにもう1店舗オープンさせ、その後も同じ業態を広げていくとしています。
店舗を持たない異色の青果店「鮮度が良いのがメリット」
札幌中心部の地下歩行空間。
この場所で異色の青果店を営んでいる人がいます。
木村佑太さんは10年前、出店する場所や時間を柔軟に変えられる露天販売に商機を見いだし、店舗を持たない選択しました。
(フィッジワーカー 木村佑太さん)「(チカホは)人通りが多いことと、近場に青果専門店がなかったことが理由」
店頭に並ぶ野菜は値段も手ごろ。
商品の陳列にもこだわりをみせます。
(フィッジワーカー 木村佑太さん)「なるべく同じ色が被らないように。色とりどりに見えるように、選ぶ楽しさがわくような感じで陳列しています」
客の7割は常連で、女性客が多いといいます。
そして、最も大切にしているのがー
(フィッジワーカー 木村佑太さん)「白ナスはアクが少ないのでアク抜きしないで」
(来店客)「そのままで食べられるの?」
(フィッジワーカー 木村佑太さん)「そうなんです。輪切りにして油炒めにしたらとろとろになる」
客とのコミュニケーションです。
生産者のこだわりや野菜のおいしさなどを丁寧に伝えています。
また、ポップにも工夫がー
分かりやすい説明を書き込んで、一目で野菜の特徴が分かるようにしています。
(来店客)「ちょっとした店の人との会話が心に潤いを与えてくれて、楽しく買い物できる」
木村さんは店舗を持たないメリットを、意外にも「鮮度」だと言います。
(フィッジワーカー 木村佑太さん)「店舗を持っているといつも在庫を置いていないといけないが、その日仕入れたものをその日に完売させて、次の日にまた新しい鮮度の良いもので常にどれをとっても安心して選んでもらえるのがメリット。ここで買って間違いないなと思ってもらえる野菜を販売して、この形態(露店販売)を軸に頑張っていきたい」
チカホでの営業は週3日から4日。
店舗を持たない異色の青果店の挑戦は続きます。
東京からすすきのへ進出! 温暖化に伴う「産地の北上」に対応
夜明け前から動き出す札幌市中央卸売市場。
早くも仕入れた品の積み込みが始まっていました。
(記者)「この荷物はどこから?」
(スターフルーツ札幌店 村上航輔店長)「豊洲ですね。東京の豊洲から送られてきたものです」
村上航輔さん、2025年暮れに東京から札幌に進出した青果店「スターフルーツ」の店長です。
店に並ぶ商品の半分は、毎日東京から送られてきます。
ここに、本社が東京にある強みがいかされているといいます。
(スターフルーツ札幌店 村上航輔店長)「東京の市場の方が安いものもあれば、これもあまり見ないですね、『めぐりとまと』とか。愛知のトマトなんですけど、札幌の市場では見たことがない」
スターフルーツは東京で11店舗展開しています。
豊洲市場でのコネクションはそのままに、札幌の中卸業者とのつながりを深め、今後の取引につなげる狙いがあるといいます。
(スターフルーツ札幌店 村上航輔店長)「気温が上がってきて、山形でサクランボがとれなかったり、本州でとれていたものがとれなくなってしまったことが多くて。それで北海道のものを東京に送るために、まず拠点をつくるために札幌に出店した」
札幌進出は温暖化に伴う産地の北上に対応したもので、将来の生き残りをかけた重要な戦略でもあります。
札幌の店舗は「すすきの」にオープン。
この立地にもスターフルーツの狙いがありました。
(スターフルーツ札幌店 村上航輔店長)「ライバルも少ないし、すすきのだと飲食店も多いのでターゲットになる。人通りが多いのでメリットがあるのでここに出店した」
開店直後から店内はにぎわい、1日平均800人が訪れます。
商品は品質を重視。
飲食店で出せる水準をクリアしていることが条件です。
(来店客)「隣で店をやっているんですよ。居酒屋をやっているんです。全部店で使うやつ。フルーツも全国のものがあるから。鮮度は良いし安いから、持ち運びも楽だから来ている」
(来店客)「仕事の帰り道にフレッシュな青果店があるとありがたいし助かりますね」
オープンからおよそ7か月で客からの信頼を得たスターフルーツ。
道内でさらなる店舗展開も目指しています。
(スターフルーツ札幌店 村上航輔店長)「1~2年間で(店を)根付かせることができたら、もう1店舗やりたいと思っています。常連客が増えているので、いい感じなんじゃないかな」
物価高の中、さまざまな戦略を打ち出す青果店。
生き残りをかけた挑戦が続いています。
