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【詳報】工事停止を求められた事業者が市に損害賠償請求を検討 対立深まる釧路市メガソーラー問題

釧路市内の複数カ所でメガソーラー建設を計画をしている事業者の日本エコロジー(本社:大阪)が、釧路市に対し「事業実施を阻害する行為を行った場合は、損害賠償請求等を検討する」などと、訴訟を辞さない考えであることが分かりました。

釧路市は2025年12月24日、昭和地区や大楽毛地区での日本エコロジーのメガソーラー建設に対し、市の文化財保護条例を根拠として「キタサンショウウオの保存に影響を及ぼす行為であることから条例に基づく許可申請書を提出し、許可までの期間は工事を行わないこと」という行政指導の通知文書を日本エコロジーに送付しました。

関係者によりますと、2026年1月上旬に日本エコロジーから回答があり、以下のような主旨の内容だったということです。

(日本エコロジーの回答)「専門家による調査を実施済みであり許可申請等の手続きは不要。今回の通知は事前の指導と異なるものであり許されない。今回の通知は事実上の事業妨害であり、財産権の不当な侵害であり重要な違法性を帯びる可能性がある。市が事業の差し止め、制限、事実上の中止を求めるのであれば明確な根拠を示すべき。今後も法的根拠を欠いた行政指導を継続し、事業実施を阻害する行為を行った場合は、損害賠償請求等を検討する」

日本エコロジーのメガソーラー建設を巡っては、釧路湿原国立公園の周辺に位置する「北斗地区」の工事が2025年3月から始まりましたが、タンチョウやオジロワシ、キタサンショウウオといった希少生物の調査不足が指摘されていました。

8月29日の道と市による調査では、森林法違反となる伐採が明らかとなり、9月2日に道が工事の中止勧告を出します。

これを受け、日本エコロジーは「北斗地区」の工事を一時中断しましたが、その後も土壌汚染対策法の届け出遅延など、法令違反が相次いで見つかりました。

また、事実上停止していた北斗地区以外の市内12か所の事業計画については、11月、日本エコロジーが年内に工事を始める意向を示しました。

そのうち8か所は、市が希少生物の再調査を求めるなど協議が続いている場所でしたが、日本エコロジー側は「調査は複数回行っていて、これ以上できることはない。希少生物への影響もないとみている」と反論し、12月22日以降、協議中だった昭和地区や大楽毛地区の計画地では木の伐採が始まりました。

地域住民からは「納得のいく説明がなされないまま工事が進められている」などと反発の声があがり、鶴間秀典市長も緊急の会見を開いて「協議中の工事については〝着工〟と認めない」などと憤りをあらわにしました。

日本エコロジーが工事の着手を急ぐ背景には、釧路市の新たな条例があります。

2025年10月1日、釧路市は「自然と太陽光発電施設の調和に関する条例」を施行しました。

太陽光パネルなどの設置について、これまでの「ガイドラインの届け出制」から「市長の許可制」に変わり、実質的に規制を強めたのです。

ただし、条例の適用は「2026年1月1日以降着工の事業が対象」とされています。

日本エコロジーは釧路市の対応について「新条例の遡及適用を行わないことが確約されれば、地域との共生協議を目的として工事着手を延期することを提案してきた。代替地の提示等、(日本エコロジー側が)不利益の被ることのない合理的な提案があれば協議に応じる意思も伝えてきた。しかしこうした提案に市は一切応じていない」と主張しています。

昭和地区などの木の伐採に対し〝着工と認めない〟と発言していた鶴間市長ですが、これまでの取材に「(すでに着工した事業に対し)実際に条例をさかのぼって適用するのはなかなか難しい」とも話していて、弁護士に相談しながら今後の対応を模索しているということです。

違反是正に向けての日本エコロジーの動きは加速しています。

工事が中断されている北斗地区のメガソーラー建設の計画地では、土壌汚染対策法に基づく調査が2026年1月14日から始まり、結果は2月上旬から中旬までに判明する見通しです。

15日には鈴木知事が一連の問題発覚後初となる現場視察をし、「地域と共生のできていない事業は許されない。法令順守は大前提で、法令に違反した場合は勧告、従わなければ中止命令を出す」と踏み込んだ発言をしました。

一方で、自治体と事業者の対立は深まり、現時点で解決の糸口は見えていません。

18日、日本エコロジーの幹部がSTVの取材に応じ、「損害賠償請求というのは最終手段。しかしながら、希少生物の調査や協議、是正措置についてはこれまで真摯に取り組んできたつもりだ。そこ(調査など)にもかなりの額の投資もしている。これ以上何をしたら良いのかというのが、自分たちの立場。決して希少生物をないがしろにするつもりもないし〝環境破壊をする会社だ〟というようなレッテルを貼られるのはおかしい」と、現在の心境を明らかにしました。

太陽光発電施設の設置を直接規制する国の法律がないいま、開発と自然保護の調和をどのように図るべきなのか。行政側の姿勢も問われています。

01/18(日) 15:06

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