Dr.トーコのラジオ診療室

12月19日放送「そもそもケアマネージャーって何ですか?」

2021年12月19日(日)

12月19日放送「そもそもケアマネージャーって何ですか?」

  • 陶子先生&吉田さん&山本さん
陶:今日はゲストをお迎えしましたよ。H・N・メディックと連携している「ケアプランセンターかるた」の主任ケアマネージャー、吉田里美さんです。おはようございます。
吉:おはようございます。
陶・山:よろしくお願いいたします。
吉:よろしくお願いいたします。
陶:吉田さんはですね、当院と連携しているケアプランセンター、「ケアプランセンターってなんぞや?という」話は、今日これからしていきますけれども、そこの主任ケアマネージャーさんとして働いてくださっている方です。私の印象としては「自分がやる仕事の範疇内のことはきっちりやるんだぞ、やりきるぞ!」と、顔に表れているような、佇まいからして頼もしい方です。実際の仕事でもすごく信頼のおける、頼りになるケアマネージャーだというふうに思っております。
山:それでは参りましょう!吉田さん、今日のテーマは?
吉:「そもそもケアマネージャーって何ですか?」というお話です。
山:確かに、知っているようで、実はよく中身は詳しい事まで分かっていません。
陶:そうなんですよ。私たちは「ケアマネージャーさん、付いていますか?」って、患者さんに聞くことがあるんですけれど、「ケアマネージャーさんって?なに?」という方もまぁまぁいますよね。
吉:ケアマネージャーとは簡単に言うと、皆さんの日常での不便や困りごとに対して、介護保険を利用しながら解決方法を一緒に考えるという役割をしています。
陶:介護保険を利用しながらというところがポイントですよね。
吉:そうですね。介護保険にはいくつも便利なサービスがあるんです。その方の現在の状態によって今必要なサービスは何かを分析して、それぞれのサービスへつなげる「懸け橋」としての役割を担っています。また、自分では家族や主治医にうまく物事を伝えられない方もいらっしゃいますので、時には代弁者となり家族間の意思疎通、介護と医療の連携を図る役目もします。
陶:・・・これ、難しいですよね。「家族や主治医にうまく物事を伝えられない」という要素に切り込むことはすごく大事だと思うんですけれど、一報でそういった場合は「何が問題なのか」をご自身ではもちろん自覚していない、家族もなかなかその把握が難しいという場合も多いかとおもいます。
だから、ケアマネジャーさんは患者さんの困りごと全部の話をとりあえず聴いて、その中から「これ、大事」「ここはケア必要」といった感じの抽出作業、「目利き」みたいなこともやって下さっている感覚があります。
山:「最善を導き出してくれる!」っていうような人物なんですね。介護保険を利用しながらというお話でしたけれども、介護保険では一体どのようなサービスを受けられるのかっていうのも私は分かってないですけれども。どんな内容なのでしょうか?
吉:介護保険で利用できるサービスは本当にたくさんあるんです。まずは「ご自宅に訪問するタイプのサービス」です。訪問介護では掃除や買い物など生活に関する支援や、食事が1人では食べられない方の介助、おむつ交換など体に直接触れる介助など、内容は一人一人のニーズに合わせて盛りだくさんです。次に、看護師さんが自宅に来てくれて、体調管理をする「訪問看護」やリハビリの専門職がその方の身体状態に合わせたメニューを考えて実施する「訪問リハビリテーション」、また「訪問入浴」というのもあります。なんと、自宅に浴槽を持ち込むんです。
陶:これ、すごいですよね!
吉:居間や寝室など、ご本人お気に入りの暖かい部屋で、ゆっくりとお湯につかれるという画期的な方法なんです。畳2枚分のスペースがあれば十分浴槽を組み立てられるんですよ。想像つきますか?
山:いやーつかないですね。部屋でお風呂に入ることができるだなんて、もう幸せの極み!
陶:素朴な質問なんですけど、お湯ってどこから持ってくるんですか?
吉:水道水をまずホースで、ご本人のお家から借りて、それを車に引っ張ります。
陶:えっ!?
吉:車には、お湯にする装置が付いていて、そこからお湯にしてまた循環して浴槽に返すっていう方法です。
陶:すごい長いホースってことですか?
吉:そうですね。4階くらいまでのお宅だと届くっていう話です。
山:すごい!お湯が周りに飛び散ったりっていうことも心配なんですけれども大丈夫なんですか?
吉:浴槽の周辺の床を全部ビニールで張るという配慮をします。そのビニールの面積と人の位置も考えて、「必要スペースは畳2枚分」ということなんです。
陶:なるほど、必要な面積は水のとびちりを踏まえて考えてあって、そこから導き出された「畳2枚分」なんですね。
山:なるほど~技術も本当に必要ですよね。
陶:でもね、吉田さんは今こうやってケアマネジャーの仕事についての細かい質問にもサッと答えてくれているけれど、これって多分ケアマネジャーの仕事のごく一部ですよね。
吉:はい。まだまだあります。通所系、つまり利用される方が通うサービスとしては「デイサービス」・・・これは皆さん1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。なかなか外出の機会が持てない方でも迎えの車が来てくれるので安心です。車椅子ごと乗れる車両もあるので大変便利なんですよ。夕方まで過ごすこともでき、お昼ごはんをみんなで食べたり、丁寧な職員さんの介助で大浴場での入浴もできます。一石三鳥ぐらいのお得感があります。日中外出している間に、「介護者である家族が、用を足す時間にあてる」という方も多く聞きます。
陶:「通所リハビリテーション」という通いのサービスもあるとききました。
吉:そうですね。よく、デイサービスとひとくくりにされることが多いのですが、違いは「医師の指示のもと、リハビリテーションの専門職である理学療法士や作業療法士が一人一人の身体状態に合わせてリハビリテーションを実施する」というところです。言葉や飲み込みの訓練を行う言語聴覚士が配属されている施設もあります。食事や入浴ができる部分はデイサービスと同じですね。みなさん、デイサービスとリハビリの違い、分かっていただけましたか?
山:わかった!と言う方多いんじゃないでしょうか。デイサービスは「自宅のほかにもう1つお家があるような感覚」ですよね。デイケアは、そこでさらに専門のリハビリを受けることができる場所っていう感じでしょうかね。
吉:そうですね、そのとおりです。
陶:・・・で、さらにショートステイっていうのがある。
山:それもよく聞きますね。
吉:お泊まりができるショートステイというサービスです。お近くの特別養護老人ホームや介護老人保健施設など介護のプロが日常生活の介助を夜間も担ってくれるんです。家族が冠婚葬祭で遠方に出かけなければいけないときや、「ちょっと介護のひと休み」なんて時に利用するとリフレッシュができて、「また明日から頑張ろう」という気持ちにもなれるんですね。四六時中一緒というのは誰だって大変ですから、時には離れることも必要だと思います。そして、案外知られていないのが福祉用具の貸し出しや購入の補助です。起き上がりに便利な置き型手すりは、需要が多く人気商品ですし、車いすやベッド、それに歩行器なども種類が豊富なんです。必要なときに借りて状態が回復すれば返却できるので大変便利です。
ほかに、購入する場合でも商品によっては介護保険で賄えるものがあります。入浴時に使用するシャワーチェアーやポータブルトイレなど、体に直接触れる商品などは1割から3割の負担で購入が可能です。
山:それはありがたいですよね。
陶:よく考えてみるとすごく手厚いですよね。
山:貸し出しというのは、ずっと使うわけじゃないっていう場合とか、使ってみて本当にご本人が使いやすいか確かめるためにも便利ですよね。
陶:その費用ってどこから出ているの?という疑問もあるかと思うんですが、皆お給料から天引きされている介護保険料、それがこういったサービスに使われてるっていう考え方であっていますか?
吉:そうですね、まさにそのとおりです。
陶:天引きに抵抗があるという方でも、こうやって具体的な用途がわかれば「いいね!」って思えちゃう気がします。
吉:さらにですね、もっと知られていないのが「住宅を改修する時の補助」です。住宅の改修すべてに適用するのかと言われると、やはりそうではありません。介護保険でできる改修には一定の決まりがあります。ですが、玄関の上がり框に手すりを取り付けたり、トイレで便器からの立ち上がりに手すりを取り付けたりと、貸し出しの商品よりも場所を取らずに壁に直接設置できるという部分では、使い勝手がよいと感じる方も多くいらっしゃいます。「2階までの階段に手すりを取り付ける」「浴室の床を滑りづらい材料に交換する」など、体に負担をかけないように工夫するのが介護保険の住宅改修になります。用具や回収に関しては、「早く使っていればよかった」という声が多く聞かれますね。
山:それにしても介護保険のサービスで本当にさまざまなんですね。そのサービスを上手に利用するお手伝いをして下さる専門家が「ケアのマネージメントをしてくれる」・・・「ケアマネージャー」ということなんですね。
陶:これ、聞いているとほとんど生活のお世話、全部じゃないですか?まとめてみると、介護保険を利用するには、まず①市区町村への申請が必要だけれども、それもケアマネジャーさんが代行して申請してくれると。そして次に②認定結果によって、その人に必要なサービスの判断やサービスを提供してくれる事業者との調整とかに進むと思うんですが。これも介護されるその当人に代わって行うこともあるんですか?
吉:はい。具体的には、居宅サービス計画書を作成して、利用者さんご本人や家族をはじめ、関わっているすべてのサービス事業者と目標を実現するために、足並みをそろえながら「チームケア」として支援を行っていきます。また、定期的に自宅を訪問し、身体状態や生活状況・サービスについてのモニタリングを都度実施するため、新たな問題の発生にも速やかに対応できる態勢を整えています。
陶:すごいです。今日は、ケアマネージャーさんの吉田里美さんに「そもそも、ケアマネージャーって何?」「どんな仕事をしてるの?」っていうお話を伺いましたけれども、来週は「どういう状態になったら、介護保険のサービスを受けられるの?」そして、「どうやって、ケアマネージャーに繋がったらいいの?」っていう話をしていただこうと思います。

山:今日は、H・N・メディックと連携している「ケアプランセンターかるた」の主任ケアマネージャー、吉田里美さんにお話を伺いました。ありがとうございました。
吉:ありがとうございました。
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