Dr.トーコのラジオ診療室

番組紹介

 医療法人社団H・N・メディックの院長、遠藤陶子先生に、健康にまつわる話、
特にご専門の腎臓の病気や透析療法について分かりやすくお話いただく番組です。

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プロフィール

  • 遠藤陶子先生
遠藤陶子先生
医療法人社団H・N・メディック 理事長・院長
医学博士

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8月1日放送「お客様の中にお医者様は・・・」

2021年8月9日(月)

8月1日放送「お客様の中にお医者様は・・・」

陶:今日は私の経験談を話していこうと思います。時々電車や飛行機の中であるあのアナウンス「お客様の中にお医者様、看護師さん、医療従事者の方がいらっしゃいましたら…」というあれ。あの舞台裏ではどういうことが行われているのか、問題点は何かというお話をします。山本さん、あのアナウンス聞いたことありますか?
山:いやー、映画の中でしか見たことがないです。あれ、日常であんなことあるんですか?
陶:私、遭遇することが時折あるんです。同僚なんかと比べても、多い方でなぜか多いと自覚しています。
山:どういった状況で呼ばれるんでしょう?
陶:これまでに呼ばれたのは、飛行機の中で数回、電車の中でも数回、道端で人が倒れているのは結構あります。大事なのはその場で全て解決しようとしないことで、しっかり早く設備の整ったところで診てもらう道筋を作るお手伝いすることだなと思っています。
山:お医者さんがいればその場でなんとかなる、というわけではないんですね。
陶:そうですね、医療行為は少なくとも近代では病院とセットです。
山:では呼ばれた後、先生はどういったことをしているんでしょう?話せる範囲でお願いします。
陶:では、個人や場所を特定できない形でお話ししていきましょうね。まず、一番多いのは「気持ちが悪いとうずくまってしまう」とか「トイレを出たところで倒れてしまった」など、これが特に飛行機でよくあるかと。
山:怖いですね・・・
陶:こういったことの多くは何らかのきっかけで、血圧が下がって具合が悪くなっている状態が多いように思います。特に飛行機だとお酒を飲まれている方が気圧の関係で酔いやすいとかありますよね。それでストーンと血圧が下がってしまったという件には何度かありました。血圧の薬を普段飲まれている方は、国際線とかだと時差でお薬のタイミングが変わって、そこに気圧の変化がある飛行機の中でお酒をたくさん・・・となるとちょっとまずいことになるという状況ですね。
山:そういうところに遭遇した、ということなんですね。飛行機でも最近はお酒の提供についての注意書きみたいなものを目にすることはありますよね。
陶:私が何度か遭遇しているくらいですから、総数としては結構そういうことがあるんだと思います。最近はコロナ禍でみなさん飛行機移動の機会も減っているとは思いますが、一般的にお酒の好きな方は飛行機の中での酒量に要注意ですね。
山:飛行機は居心地がいいから、いつもとは環境が違うんだ、ということをうっかり忘れてしまうかもしれませんね。あとはどういったことがありましたか?
陶:怪我ですね。
山:ケガ!
陶:車内や飛行機内で傷を負ったとか、傷を負った状態で乗り物に乗ったけれど後から具合が悪くなったとかということがありました。私は内科医なので、特に傷に関してはやりすぎないように、しっかり早く専門家に引き継げるようにすることを考えます。それでも、すごーく出血していて応急処置が必要だったこともありました。
山:その方・・・まさに命拾いしたんですね。
陶:電車の中での呼び出しのエピソードは、漫画の題材として取材いただいたこともありました。おかざき真里さん、当院のレシピ本の表紙を描いてくださった漫画家の先生の「&」という作品の中で、ナイスミドルなお医者さんが車中で応対するシーンです。
山:いま、その漫画が手元にあるんですけれども、ナイスミドルな先生が、どうすれば最速で病院に運べるか、冷静に考えている、という場面ですね。
陶:題材として取材いただいた私の経験としては、電車の中で呼ばれてからその方の側で終点まで付き添いをしました。その時、私は途中の駅を全部飛ばして欲しいなあと思ったんですが、当然ながらそれはできなかったんですね。というお話をおかざき先生にお話したんですが、漫画の中ではお医者さんに「駅、飛ばせませんか?!」と言って駅を飛ばしてもらえていました。
山:漫画だからこそ、成し得たこと、ですね。
陶:単行本では5巻になります、ご興味のある方はぜひ手に取ってみてください。

陶:さて・・・ここで注意が必要なのが責任問題です。私は結構、後先考えずに今困っている人がいれば駆けつけちゃうというタイプなんですが、本当はそれではいけません。
山:と言いますと?
陶:病院ではないところで、すなわち医療行為を行うには不十分な環境で人の体を診るということです。当たり前ですがミスする確率は上がります。その責任をどこまで追求されるのか、といったことが実は争点になることがあります。
山:助けるためにしたことが結果責められてしまう、なんてことなんですね。
陶:実はそういった責任問題と人の良心のバランスを取るような「良きサマリア人の法」というのがある国もあるんですよ。
山:良きサマリア人の法の話!キリスト教の聖書の話ですよね?藤女子中学で習いました!内容は、強盗に襲われて大怪我をしている人が道端に倒れているところに3人の人がそれぞれ時間差で通りかかるんですが、先の2人は怪我人を避けていってしまう。ただ3人目に通りかかったサマリア人だけが手厚く保護して助けてあげる。というお話でしたよね?
陶:そうです。ここで、サマリア人は怪我人とは違う宗教の人だった(より他人度合いが高い)にもかかわらずだけど助けてくれたというところで。ようは、助けるという行為の根拠が100%善意に他ならないというところなんですね。転じて、「善意のもとに無償で行ったことについては、その結果の責任を問わない」というのが良きサマリア人の法の要旨なんです。ですが、実は日本ではこの良きサマリア人の法律のようなものが明確には整備されていなくて。
山:えー!なんか残念です・・・
陶:実際に、人命を助けられなかったことの責任を追求されてしまうこともあるようです。一方で、医師には応召義務というのもあって、明らかに医療の助けを必要としている人を見て手を貸さないとまた咎められるという。
山:それじゃああんまりじゃないですか。先生板挟みじゃないですか!
陶:前門の虎、後門の狼、みたいなね。まして今SNSでの拡散なども気にしなければならないので、今、本当に「お客様の中にお医者様は…」に手を挙げるかどうかは昔よりもっと難しくなっています。
山:目の前で苦しんでいるを助けることが難しいだなんて、先生にしてももどかしいし辛いですよね。
陶:ただ、冒頭でお話ししたように、「お客様の中にお医者様は…」というような状況でなくても、もっというと医師という立場でなくても、限られた環境で人助けをするという状況においては私たちは「自分で解決しようとしない」という心がけは大事だと思います。
山:と言いますと?
陶:たとえば、道に倒れている人がいて、声をかけると意識があったので、そのかたのご希望通り家まで送り届けたとします。一見これ、いいことですよね。
山:はい。そうやっちゃうと思います。
陶:ところがその方が家まで行って、そのまま意識を失って、家の中でひとりで助けを呼べなかったとしたらどうでしょう?
山:それは・・それは大変ですね・・・
陶:だったら・・道端で転がっていたほうが、誰かが救急車を呼んで助けてくれたかもしれませんよね。
山:そうですよね・・いくら本人の希望でも、従ったばかりに取り返しのつかなくなるかもしれない、と。
陶:そうです。あとは単純に、感染対策が取れないという不利益もあります。その方が感染しているか、もしくは自分が無症状で感染させてしまうとか、いろいろな可能性があるとなかなか、人助けも難しい世の中になってきてしまいました。
山:そうですね・・とっさのときでも感染対策はしっかりしなくてはいけないですもんね。・・じゃあ私たちがそういう場面に出会ったら、冷静に専門家へつなぐことをまず最優先にするべきなんですね。
陶:そういうことです。できることとできないこと、これは医師であろうがそうでなかろうがしっかり見極めて、「良かれと思ってやりすぎない」という視点は大事かなと思います。

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