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【能登に学ぶ】原発周辺が被災したら 道内にも似た地形が?

1月に起きた能登半島地震では、半島の南部にある原子力発電所が様々な被害を受けていたことが明らかになりました。

もし原発事故が起きていたらー

地元では新たな問題が浮上しています。

現地に入ったSTVの記者が取材しました。

石川県能登半島の南部に位置する人口2万人のマチ・志賀町。

能登半島地震では震度7の激しい揺れに見舞われました。

今も町の至るところに爪痕が残されています。

この町では、ある大きな問題が浮き彫りになっています。

住宅地に近い海岸に建つ、志賀原子力発電所です。

2基の原子炉を備える志賀原発は、今回の大地震で様々な被害を受け、3メートルに達する津波が押し寄せていたことが明らかになりました。

震災当時、運転は停止していましたが、中には常に冷却しなければならない使用済み核燃料が多く残されていました。

構内の道路にはひび割れができ、外部電源を使えるようにする変圧器などの設備から油漏れが発生しました。

志賀原発を管理する北陸電力は、いずれの被害も原発の機能には影響がないと発表しました。

(北陸電力原子力部 中田睦洋部長)「原子力発電所で何があっても守らなくてはいけないのは、放射性物質を外に出さない、これに尽きると思っております。放射性物質を持っている使用済み燃料はちゃんと冷やしておりますし、閉じ込めてもおりますし、そういったところの機能というのはしっかりと担保できています」

(北陸電力土木建築部 吉田進部長)「(原発構内で)隆起か沈降かというのはここでは申し上げませんが、それほど大きなものはなかったということは申し上げておきます」

しかし、住民は不安を隠せません。

(地元の人)「あそこ(志賀原発)が大丈夫だったからまだよかったけど。(事故に)なったらもうどうなっちゃうんだろうね」

(地元の人)「(もし事故になっていたら)ちょっとパニックになると思います、皆ね。こういう時は考えることができるけれど、とっさの場合は怖い」

東日本大震災で爆発事故の処理が続く福島第一原発。

大津波によって電源を喪失。

核燃料を冷やす機能が失われ、大事故につながりました。

いまも2万6000人以上が避難生活を続けています。

福島第一原発の事故などを教訓に、石川県では志賀原発から半径30キロ圏内の住民を対象とした避難計画が作られました。

しかし、今回の地震で問題が次々と浮かび上がったのです。

志賀町の小学校は、原発事故が起きた場合に高齢者らが一時避難する放射線防護施設となっていますが、天井が壊れるなどの被害が出て、その機能を果たすことができない状態になりました。

石川県によりますと、県内20の防護施設のうち14施設が損傷したといいます。

さらにー

(青柳記者)「原発に不具合があった際に避難ルートがあらかじめ決められていますが、能登半島地震ではその多くが通れなくなりました」

原発事故発生時にあらかじめ決めている避難経路です。

志賀原発で事故が起きた場合の避難ルートは、国道や県道など11路線が想定されています。

そのうちの一つ・国道249号を車で通ってみるとー

(青柳記者)「原発に事故があった際に避難で使うルートは、土砂崩れの影響で片側1車線通行になっています」

石川県によりますと、能登半島地震では志賀原発から30キロ圏の7路線が通行不能になりました。

また、志賀町に隣接する輪島市では海岸が最大およそ4メートル隆起するなど、船での避難も現実的ではないことが明らかになりました。

問題はほかにもー

(青柳記者)「石川県珠洲市です。住宅が完全に倒壊しています。志賀原発に事故があった場合、『奥能登』と呼ばれるこの地域も避難先の一つでした」

さらに、石川県の想定では原発の北側の住人は、能登半島地震の震源に近い珠洲市や輪島市方面への避難も計画されていました。

津波の影響でしょうか。

海沿いの建物の1階は完全に突き破られています。

車も積み重なった状態にー

避難先として想定されていた珠洲市も大きな被害を受けたのです。

珠洲市の銭湯を営む新谷健太さんです。

地震で大きな打撃を受けながらも、ようやく再開にこぎつけた新谷さん。

原発事故の避難計画に疑問を感じています。

(青柳記者)「珠洲市は逃げ込める状況にあったと思いますか?」

(新谷健太さん)「そこは難しいと思います。道路の状況もそうですし、半島の突端なのでかなり厳しい状況にはあると思いますね。道の状況もひどい地割れでしたし。活断層の問題とか立地条件というものは、もっと検討する余地はあるなと思いますし、慎重に動いた方がいいなと個人的には思いますね」

福島第一原発の事故では、放射能が半径30キロを超えて拡散しました。

志賀原発の存在は珠洲市の住民にとっても切実な問題なのです。

珠洲市内に住む落合誓子さんです。

地震から2か月以上経ったいまも避難生活が続くなか、寺による炊き出し支援を本格化させました。

(落合誓子さん)「避難所にいると支援物資に頼るわけだから、レトルトみたいのが増えてきたりパンとかよくておにぎり。はじめは私も避難所にいてとてもありがたかったんですけど、同じものを1か月2カ月食べ続けるとやっぱり火の通ったもの、暖かいものとかほっとするようなものを食べたいなという要求が出てきますよね」

寺院は地震によって大きな被害を受けていました。

(落合誓子さん)「これがお寺の後ろです。ここに倉庫がありました。うちの大切なものが全部だいたい埋まっていました」

地震の被害に加え、もし原発事故が起きたら…

落合さんは強い不安を抱いています。

(落合誓子さん)「ただの地震だけでもこんなにひどいんですよ。あんなときに整然と人が逃げるなんて絶対あり得ない。今回は直撃しなかったとはいえ、どうするのよって私たちの方が聞きたいですよね。あんたたちどうするつもり?って。万が一のことがあったら国も電力会社も責任取れますかって」

原発事故の避難について、石川県は国に対応するよう求めました。

能登半島地震から2カ月半。

原発事故への備えが改めて大きな問題として浮き彫りになっています。

北海道内には泊村に泊原発があり、半径30キロ圏には13町村があります。

泊村が公開している避難計画では、バスや自家用車、海上輸送などが避難方法として挙げられています。

ただ、能登半島地震では道路が寸断し、船も使えない状態になりました。

道内でも同じことが起きる可能性があります。

今回の地震を踏まえて、実効性のある計画が求められています。
「STVニュース」  3/26(火)14:37更新

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