●岸田総理　新経済対策“５本柱”を発表　「年収の壁」対策、来月から実施へ
●世界初のアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」厚労省が承認　アメリカに次いで２か国目
●道央道でトラックが炎上　５時間通行止め　けが人なし
●少年３人がポケモンカード盗んだ疑いで逮捕　別の窃盗事件にも関与か　旭川市
●自転車がトラックに追突　頚髄損傷の疑いで２３歳男性を搬送　仁木町
●ハンターがクマを駆除　目撃が相次いでいた札幌市南区
●きょうから日米共同訓練　航空自衛隊千歳基地が拠点
●住宅で６６歳女性死亡　傷害致死事件で捜査　兄からも事情聞く　茨城県つくばみらい市
●１８歳男子高校生が大型商業施設で“切りつけ”　現行犯逮捕　新潟県長岡市
●大学入学共通テストの受付開始　計８６２校が参加へ
●ＩＡＥＡ年次総会　”処理水”めぐり日中が非難の応酬　高市氏「批判は中国のみ」

●きのうのメジャーリーグ
　カブス鈴木誠也選手が３打数２安打
　レッドソックス吉田正尚選手が３打数１安打
　ブルージェイズ菊池雄星投手が４回９安打３失点で勝敗つかず
●きのうのプロ野球結果　パ・リーグＣＳ争い熾烈
　ファイターズ　楽天に１－９　伊藤大海投手と田中将大投手が初の投げ合い
　高卒５年目・田宮裕涼選手がプロ第１号ホームラン
●プロ通算２１８６安打・内川聖一選手が現役引退
●大相撲秋場所優勝の貴景勝が会見「カド番場所長く感じた」
●バレー女子日本代表　ブラジル戦明け眞鍋監督「来年五輪出場権獲得を」
●バレー男子日本代表が親善試合　江別市出身・山本智大選手が好レシーブ連発
●Ｂリーグが開幕前記者会見　レバンガ桜井良太選手「ハードワーク体現」
●ＩＨアジアリーグ　レッドイーグルスが週末月寒で２連戦

【5時台】
M「青春の坂道/岡田奈々」

【6時台】
M「さらば愛しき危険たちよ/ JUN SKY WALKER(S) 」

【7時台】
M「秋風のバラード/オリビア・ニュートン・ジョン」

八幡淳ならではの目線と感覚で
臨場感（プレゼンス）あふれるスポーツの話題をお伝えしています。

今回は「　悲運のエース　西口文也　」

9月26日は埼玉西武ライオンズ2軍監督西口文也さん51歳のお誕生日。
現役時代はライオンズ一筋21年、通算182勝を挙げ、
11年連続2桁奪三振試合達成は未だパ・リーグ記録という、
長くエースとして活躍した一方で「悲運のエース」とも呼ばれるエピソードに
事欠かない投手でもありました。

西口文也さんは、1972年9月26日和歌山県和歌山市生まれの元投手。
現役時代の身長は182ｃｍながら75ｋｇという細身で、長い手足から繰り出される直球と、
切れ味鋭いスライダーを武器に活躍しました。
投げ方もその身体的特徴を生かした華麗なフォームで、
まるで何かの舞を見ているかのような美しさがあった投手です。

野球を始めた当初はショートや、外野手としてプレーしていましたが、
和歌山県立和歌山商業高校からは投手も兼任。
ただ、高校時代は無名に近い存在で、3年生だった1990年夏の甲子園県予選では
準々決勝に進むも、敗退。甲子園には出場できませんでした。
高校卒業後は立正大学へ進学、入学後は投手に専念して活躍。
当時の立正大は東都大学野球リーグ二部に低迷していましたが、
1992年春季二部リーグで最優秀投手賞を受賞。
以降はエース格の投手として獅子奮迅の活躍、
1993年の秋季リーグで5勝を挙げ二部優勝へ導きます。
東京農業大学との入替戦を制して一部リーグに昇格しますが、翌季にはまたも二部陥落。
ただ、二部リーグで迎えた最後の1994年秋季リーグでも優勝し、
入替戦で亜細亜大学を相手に2勝を挙げる活躍で、一部昇格を果たすなど
激戦の東都大学リーグで活躍を果たし、それが認められ1994年のドラフト会議では、
西武ライオンズから3巡目で指名を受けて入団を果たします。

ルーキーイヤーの1995年には、アメリカの独立リーグに野球留学し、
後の決め球となるチェンジアップを習得。
今年の後半戦ではプロ初完投・初完封勝利も記録。
2年目の1996年には開幕から先発ローテーションに入り、初めて規定投球回にも到達。
勝ち星もパ・リーグ2位の16勝を挙げ、奪三振数173もリーグ2位。
更に、この年のリーグ最多完投数13を記録しライオンズ先発陣の中心へと成長していきます。
そして、この年の9月23日対近鉄戦では5回無死から7回二死まで8者連続三振を奪い、
初回に打たれたヒット1本以外は全て打ち取り、
被安打1の無四球完封勝利で準完全試合も経験します。
3年目の1997年は初の開幕投手を務め、結果この年は15勝を挙げパ・リーグの最多勝を獲得。
更に、192奪三振で最多奪三振・勝率.750でパ・リーグ最高勝率、
その他ベストナインやゴールデングラブ賞、
そして投手最高賞である沢村賞とパ・リーグMVPも受賞。
名実ともにＮＰＢ最高の投手となる活躍を見せました。

これほどまでの活躍をし、その後42歳まで現役を続けた西口さんが
なぜ「悲運のエース」と呼ばれるようになったのか・・
それは大記録を一度ならずとも何度も逃したことに由来します。

一度目は2002年8月26日、西武ドームで行われた対千葉ロッテマリーンズ戦でした。
この試合福浦和也さんに四球を1つ与えた以外は完璧な投球内容、
なんと9回二死までロッテ打線を「無安打無得点」、
つまりノーヒットノーランに抑えていました。
大記録目前、この日「28人目の打者」は小坂誠さん。
このシーズン打者小坂さんは西口さんに対し1本のヒットも打てていません、
つまり対戦打率は.000。しかし、2ボールからの3球目、
小坂さんが打った打球は弱弱しいフライ、セカンド、センター、ライトが
それぞれ追いますが打球は無情にもセンターの前で1バウンドしてセンター前ヒット。
大記録まであと一人というところでノーヒットノーランを逃しました。

二度目の悲劇は2005年5月13日、当時のインボイスSEIBUドームでの
セ・パ交流戦の対読売ジャイアンツ戦。
この試合は切れのあるスライダーに加え、当時の捕手・細川さんが
「左手人さし指がはれた」と振り返るほど直球に威力があって、
当時ジャイアンツに所属していた清原和博さんに与えた死球以外は走者を許さず、
9回二死まで巨人を「無安打無得点」、
つまりノーヒットノーランに抑えていました。
大記録まであと一人、迎えるのはこの日の「28人目の打者」である清水隆行さん。
ただ、威力抜群の直球ではなく、ボールにするはずのスライダーを投げた瞬間、
甘いコースに入り打球はあろうことか右翼席へ。
ノーヒットノーランはおろか、完封も逃してしまうという悔やみきれないホームランで
大記録はまたも達成できませんでした。

神様ってなぜ、こんなにもむごいことをするんでしょうか・・
西口さんに三度大記録のチャンスがやってきたのは2005年8月27日、
当時のインボイスSEIBUドーム対東北楽天ゴールデンイーグルス戦。
この日のライオンズは守備陣も無失策で試合を進め、西口さん絶好調。
9回終了まで相手打線を無安打無四球無得点、つまり完全試合という投球でした。
しかし打線は、相手投手の一場靖弘さんの178球の力投の前に沈黙。
9回裏もライオンズは得点することができず9回が終った時点で0-0、
試合は延長戦に突入します。
ちなみにノーヒットノーランや完全試合は9回時点でリードしていなければ記録として残りません。
延長10回表も当然マウンドに上がった西口さん、この回の先頭、
つまりこの日の「28人目の打者」だった沖原さんに右前打！
ここで、完全試合・ノーヒットノーランの快挙は達成ならずとなりました。
ちなみに、9回終了点まで「完全試合」を続けるながら味方打線の援護なく0-0のまま、
延長回で被安打を喫し完全試合を逃した例、皮肉なことにこの試合がNPB史上初の出来事でした。
尚、この試合は10回裏石井義人さんがサヨナラ適時打を打ち、勝利。
10回被安打1・与四球1の1-0での完封勝利となりました。
ただ、現在この記録、完全試合の参考記録扱いとなっています。

先にご紹介しましたが、2年目にも被安打1の準完全試合をしているので、
完全試合、ノーヒットノーランを逃したのは4度ということになりますが、
ご本人は後年のインタビューで「全然悔しくありません。
元々ノーヒットノーランなんてできると思ってないから。」と語っていたようです。
ただ、いつも完封勝利は狙っていたようで、その意味でいうと
二度目に達成を逃したホームランについては悔しかったそうで、
その理由は「完封できなかったから」というものでした。

そんな西口さんの引退試合は2015年9月28日、この試合は打者一人と対戦して
四球という結果でしたが、その後の引退セレモニーでのあいさつでは
「ノーヒットノーラン未遂２回、完全試合未遂1回、そして今日のフォアボール・・」と
あと一歩、決めきれなかった自分を自虐的に振り返る名スピーチで
球場に詰めかけたファンを沸かせました。
通算182勝の悲運のエースは今、次なる若手の育成に腐心しています。